自然科学

ニンゲンは賭けをする。そのとき科学は宗教になる。(追記アリ

とりあえずは荒っぽくメモがわり。 知と信 目の前にコップがひとつあるとしますにゃ。ここで、僕たちは目の前にコップがあることを【知って】いるわけですにゃ。このとき、目の前にコップがあることを【信じて】いるとは言いませんよにゃ。 つまり 知ってい…

進化論関連で、怪作がまた1冊(追記アリ

「進化論の5つの謎 いかにして人間になるのか」という本を読みましたにゃ。 ひとことでいえば、駄本にして怪作。マニア向け。 著者の船木亨はフランス哲学者で、現在は専修大学教授ですにゃ。進化論の5つの謎―いかにして人間になるか (ちくまプリマー新書)…

体験によらない知識の重要さについて言っておく

知識をDISるよくある言い草 「知識そのものなんて価値がない」、とかいう言い草は昔からありましたにゃ。「大事なのは思考力(or創造力・共感する力・協調性など適当にいれてください)だ」とかいった話には耳にタコですにゃ。 にゃんか、「塾通いで勉強はで…

100%のガン探知とプレコックス感とにおいの科学

文化人類学者エドワード・ホールに「かくれた次元」という名著がありますにゃ。文化によって異なった空間認知をしているという文化相対主義的視点からの著作ですにゃ。動物がどのような空間知覚をしているかという前半の話から*1、各文化圏における空間認識…

体長10メートルのゴキブリは人類の天敵たりうるか?

http://tkido.blog43.fc2.com/blog-entry-503.htmlで紹介されている、進化と酸素濃度の話は興味深い。じゅうぶんアリだと思うんだけど、専門家の評価はどうなんだろにゃ。 ところで、引用したエントリにある 石炭紀・ペルム紀初期は現在以上の高酸素。昆虫が…

非モテが簡単に淘汰されない理由(追記あり)

http://d.hatena.ne.jp/gensyokuneon/20080707/p1 いやいや、そうは問屋がおろさにゃーんだ。そう簡単に非モテが淘汰されてしまうことはにゃーのです。俗流進化心理学っぽくイイカゲンに説明しますにゃ。 「どすぐろく怠惰な嘆息」より引用 「非モテは淘汰さ…

切っても切れぬ生殖と愚行の関係(追記あり)

「ノーベル賞受賞者の精子バンク---天才の遺伝子は天才を生んだか---」(原題 The Genius Factory)を読みましたにゃ。書評というより、感想と連想にゃんね。ノーベル賞受賞者の精子バンク―天才の遺伝子は天才を生んだか (ハヤカワ文庫NF)作者: デイヴィッド…

軍の関与はなかった? よろしい、ならば洗脳カルトだね

この記事は沖縄戦終結とされた6月23日にあげるつもりだったんだけど、うっかりしていましたにゃ。まあ、今日25日は沖縄戦の組織的戦闘終了が発表された日ということで。 剥奪の結果としての子殺し - 地下生活者の手遊びで引用したとおり、進化心理学的にみ…

科学は歩む、オカルトへと続く全体論の道を

昨日のエントリで紹介した人間開発指数、人間貧困指数がありますにゃ。UNDP(国連開発計画)の使っている指標について、僕が検索したなかではもっともわかりやすい記述がなされていると判断したので紹介しましたにゃ。論理的に書けているし、目のつけ所も悪…

剥奪の結果としての子殺し

ジュー&マリーの「戦後日本の殺人の動向」におけるもうひとつの論点は、日本においては実の母親による嬰児殺しが多く行われていることでしたにゃ。 では、以下にサマリーを ハミルトンの血縁淘汰の理論によれば*1、同祖遺伝子を共有する血縁者間には協力行…

もうひとつの論点(猫まっしぐら2)

さて、読者参加型企画(w)、クイズ「猫まっしぐら」の2回目ですにゃ>みにゃさま 先のエントリで紹介したジュー&マリーの「戦後日本の殺人の動向」のイントロには以下のようにありますにゃ。 近年、未成年者による凶悪殺人がマスコミを賑し、大きな社会…

「戦後日本の殺人の動向」サマリー

岩波書店の雑誌「科学」2000年7月号に、長谷川寿一・長谷川眞理子*1の「戦後日本の殺人の動向」という論文が掲載されていますにゃ。wikipedia:進化心理学の立場から、殺人という犯罪を論じているものにゃんね。 なかなか手に入りにくくもなっているので、こ…

社会疫学なんてものがあったんだ

昨日のエントリにアマゾンの商品情報がくっついていたにゃ。紹介されていたのは、「社会格差と健康―社会疫学からのアプローチ」という本でしたにゃ*1。 え? 社会疫学なんてガクモン分野があるの? などとググってみたら 医学書院/週刊医学界新聞 【〔対談…

fromdusktildawnが正しすぎて屁が出る

秋葉原通り魔事件そのものについては、以前も書いたとおり興味はにゃー。犯人の心理分析に興じたくなるのもわかるけど、それ自体が事件の消費の一形態に思えて仕方にゃーようにも思えますにゃ。 ただ、この事件の語られ方において、いろいろと個にゃん的に気…

にせの思考

さらに、「自由からの逃走」からネタを仕入れますにゃ。 疑似科学というものを考えるうえで示唆的な視点を紹介いたしますにゃ。 いま、ある島にいると仮定しよう。そこには、漁師や都会から避暑にきたひとたちがいる。天気がどうなるか知ろうと思って、一人…

自然へのマゾヒズム

昨日のつづき 権威主義的性格についてはググるといくらでもでてくることと思われますにゃ。ここではフロム「自由からの逃走」から脂っこいところを引用いたしますにゃー。 注意すべきもっとも重要な特徴は、力にたいする態度である。権威主義的性格にとって…

線引き問題の歪曲

さて、 ここで、何が他者危害であるのかを争う気はさらさらないわけです。後の方で、それは具体的には犯罪である、との記述がありますね。しかし、それはなぜ、いかに犯罪であるか、の理由が問題になるのであり、その理由がどこで問われるのか、問い直される…

ずれた論点と悪意ある混同(追記あり)

十字軍はバカに勝てるか - モジモジ君のブログ。みたいな。というエントリに問題がいくつかあると考えるので、簡単にまとめてみますにゃ。ブクマコメントもいれたけど、簡単ではあってもある程度まとまった文章で反論しておきたい。 ニセ科学批判の正当性と…

♀は数学が苦手か?・補足

以下は昨日のエントリの補足 昨日は紹介しきれなかったけど、この囲み記事には他にも興味深い記述があるので、ご紹介ってことで。 フィリピン・トルコ・ロシア・アメリカ合衆国では19世紀末から20世紀初頭の方が数学者の中の女性の数は多かった ワイマー…

♀は数学が苦手か?

反・反相対主義を標榜する僕なんだけれど、自然科学が一から十までニンゲンの都合で構築されているなどという悪しき相対主義的寝言をいうつもりはにゃーのですね。それどころか、自然科学の基本的なところは客観性をベースにしたものであるとは考えておりま…

反体制運動とオカルト

「護憲運動」のお歴々が9.11陰謀論に感染していて困ったもんだという話がありますにゃ。そのあたりの事情がよくまとまったものとしては、「陰謀論系ニセ科学批判」の可能性について - 玄倉川の岸辺なんかがありますかにゃ。 僕は政治的には民族派アナキスト…

実在論をめぐるメモ

紹介した神崎亮平氏へのインタビューで、リンクしたのと同じ頁に以下のような記述がありますにゃ ■で、彼といろいろ戦略を練って、どうやってこれを研究していけば良いんだろうかと。で、工学というのは戦略が全然逆で、原理から積み重ねていって何か作ると…

自然科学はバーチャルだ

本日のエントリのタイトル「自然科学はバーチャルだ」はまことに挑発的だけど、この相対主義的な言明がおかしなものではにゃーことを論証したいと思いますにゃ。 バーチャルvirtualという言葉の使われ方は大変にオモチロイ。ランダムハウス英和大辞典を引い…

ニンゲンとは魔法が使える生き物である

魔法というものを 呪文を唱えるほかに何もしないで、自分の希望を実現する方法 と定義するのなら、僕は魔法が使えるのですにゃ。 無論、呪文は正しい呪文でなければならず、正しい呪文を唱えられるようになるためにはそれなりの修業が必要ですにゃ。また、呪…

反復される、手役がほぼ必ずブタのポーカー

へなちょこ歴史修正主義ネタをあげるにあたり、いくつかのブログを参照しておりましたにゃ。そのあたりの雑感などをちょいとあげてみますにゃ。まず歴史修正主義の手口について - rna fragmentsから引用 「議論の捏造」による「足止め効果」 ホロコースト否…

チンパンジーの子殺しとカニバリズム(4

チンプの子殺しとカニバリズムについて、伊谷氏は以下のようにいっていますにゃ。P678 わたしはこれは一種の儀式ではないかと思っているんです。カニバリズムはオスたちの連帯の象徴として行われる行為ではないのか。そうしてみると、カニバルの犠牲者は、…

チンパンジーの子殺しとカニバリズム(3

チンパンジーの社会は典型的な父系社会ですにゃ。ニホンザル社会では群れ落ちして移動するのはオスだけれど、チンプの社会では移動するのはメスであり、オスは一生自分の生まれた群れを離れにゃーのが基本なのですにゃ。 以下、箇条書きでチンパンジー社会の…

今西のアイデンティフィケーション理論

伊谷純一郎の発言を紹介しようと思ったけど、伊谷氏の発言の背景には今西(敬意をもって呼び捨て)の考え方があるので(伊谷氏は死ぬまで今西を敬愛していた)、先に今西について簡単に。今西の何が偉かったのか? にゃんといっても、動物生態学のフィールド…

チンパンジーの子殺しとカニバリズム(2

前回のエントリのつづき なんでチンプはガキを殺して食うのか? ってことなんだけど、子殺しとカニバリズムは、こういう状況になったら起きるということはまだわからず、その状況はさまざまのようですにゃ。子殺しされそうになったら、他の♂が助けた例もある…

チンパンジーの子殺しとカニバリズム(1

ハヌマンラングールの事例で知られることとなった子殺しにゃんが、実はチンパンジーもやっていますにゃ。立花隆「サル学の現在」(「現在」といっても出版は1991年、文庫版も絶版)でこのあたりの事情を読んだ時にはちょいたまげましたにゃ。この本は、サル…