線引き問題の歪曲

さて、


ここで、何が他者危害であるのかを争う気はさらさらないわけです。後の方で、それは具体的には犯罪である、との記述がありますね。しかし、それはなぜ、いかに犯罪であるか、の理由が問題になるのであり、その理由がどこで問われるのか、問い直されるのかが問題であるわけなのですが、それを考える気はないようです。

などと欺瞞馬鹿が述べているのだけど、これは典型的な欺瞞論法のひとつなので別に取り扱いますにゃ。


さて、例えば刑法における「逮捕」というのは他者の身体を拘束する重大な介入であるといえますにゃ。この「逮捕」というのは、他者の身体を拘束する重大な介入であるがゆえに、裁判所の発行する逮捕令状が必要であったり(通常逮捕)、検察官、検察事務官司法警察職員でなければ行なえないという縛りがあったり(緊急逮捕)するのだけれど、「現行犯逮捕」については刑事訴訟法第213条に「現行犯人は、何人でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と定められていますにゃ。*1


この「現行犯逮捕」が私人でも令状なしで行えることは現実的かつ合理的なことですにゃ。殺人・傷害・窃盗などといった典型的な犯罪(すべて明白な他者危害)というものは、たいていの場合は誰がどう見ても殺人であり傷害であり窃盗としかいいようがにゃーんだよね。
たいていの場合は「それはなぜ、いかに犯罪であるか、の理由が問題になる」ことなんてにゃーんだよね。義務教育を終えた程度の者であれば誰でも、何が殺人であり何が傷害であり何が窃盗であるか、の判断ができるので、刑法にこのような条文があると考えられますにゃ。


もちろん、ある行為が犯罪として成立する要件を満たすかどうか微妙なケースはあるでしょうにゃ。解釈次第ということだってあるのだろうと思う。つまり、犯罪(他者危害)と犯罪でないもの、の間に明白な一線を引くことはできにゃーというのは僕もよーくわかりますにゃ。
これは、疑似科学と科学の間に明白な一線を引くことができにゃーのと同じことだよにゃ。いや、それだけでなく、Aと非Aの間に明白な一線をひくことは、一般的には非常に困難なことだと考えてよいでしょうにゃ。線引き問題についての私見 - 地下生活者の手遊びで述べたことにゃんね。


しかし、白と黒の間に、科学と疑似科学の間に、非犯罪と犯罪(他者危害)との間に、明白な一線がひけにゃーという事実をもって、典型的な黒があり、典型的な疑似科学があり、典型的な犯罪(他者危害)があるということは否定できにゃーはずだよね。


「白と黒の間に明白な一線をひくことはできません。だから、白や黒という色の存在は自明ではないのです」
これが典型的な欺瞞の論法ですにゃ。「線引き問題の歪曲」とでも仮に名付けますかにゃ*2。白と黒の間に明白な一線を引くのは困難であっても、典型的な白も黒もアタリマエに存在するのだからにゃ。
さて、引用部分でmojimojiが使っているのが、この「線引き問題の歪曲」であることは明らかにゃんね。この歪曲で得をするのは犯罪者、損をするのは被害者ですにゃ。


この「線引き問題の歪曲」はけっこうよく見られる詭弁のひとつですにゃ。
mojimojiが使った馬鹿詭弁のひとつなんだけど、僕のテーマとする線引き問題に関することなので、特に取り上げてみましたにゃ。

*1:刑法は特にド℃弩シロウトなので、間違ってたら突っ込んでください>みにゃさま

*2:よい名称募集!