「個と公」もしくは「愛国」というHENTAI


そういえば昔、小林よしのりが「公と私」をすっぱり切断して暴論を展開していた。たしかに公私を形式的に分離するのが近代の原則ではあるが、私とは集団的なものでありえるし、個人は公的存在たりえる。小林のいっていた公ってのは、実は集団的な私にすぎないしな。


http://twitter.com/#!/tikani_nemuru_M/status/74071909687492609


ツイッターで発言したら説明を求められましたにゃー。以前からさくっとまとめようと思っていた事柄なので、メモもかねてこちらにあげますにゃん。


まず訂正から。
小林よしのりが「戦争論」などで言っていたのは「公と私」ではなく、「公と個」の関係でしたにゃ。
この「公と個」という設定を見るだけで、小林が公共性も個人主義もまったく理解できておらず、その主張する「公」とやらが実は肥大化した「私」であることは明らかだと僕には思えますにゃ。
先ほど引用した自分のツィートを訂正するとこんな感じになるかにゃ。

  • 小林よしのりが「公と私」をすっぱりと切断して、「個と公」という名目で小さな「私」と大きな「私」について述べていた。そして、小林は近代社会における公共性についてはまったく何も語っていなかった。小林などのいう「公」ってのは、実は集団的な「私」にすぎない


では以下に説明しますにゃ。

「オホヤケ」とは何か

「ヤケ」という言葉がありますにゃ。古代日本の血族を中心とした農業共同体における中核的施設を指し、それは共同体の首長に属するものとされたようですにゃ。このヤケというのは、小さなものから大きなものまで階層的で入れ子状に重なっており、大きなヤケをオホヤケ(=公)と言いましたにゃ。つまり、このオホヤケ概念には理念性があるわけではなく、単なる大小関係、包含関係にすぎにゃーものです。
そして、そのオホヤケの中でも最大のモノが「クニ」と呼ばれたわけですにゃ。
まず最初にここをおさえておいてくださいにゃー。

「家族」は公的な存在か?

自らの命を省みずに自分のガキを守ろうとする親、というのを想定してくださいにゃー。シチュエーションはお好みでどうぞ。
この親は確かに立派なもんだにゃ。僕も人の親として、できればそうありたいものですにゃん。
ただし
この親は立派ではあるが、この崇高な行為は公的なものといえるでしょうかにゃ?
家庭内の出来事は私的なことと近代国家の法体系ではなっているでしょうにゃ。
ドーキンスであれば「崇高であるかもしれないが、それは利己的な遺伝子の発露そのものだ」と言うかもしれませんにゃ。


近代の公私二元論において、家庭とは私的領域の典型ですにゃー。
親権とは私権であり、ガキの養育や教育の権利をもつ代償として、ガキの面倒をみる義務が親に課せられるのですにゃ。
したがって、自分のガキを命をかけて守る親は、私的な権利義務関係を見事に全うしたということになるわけですにゃ。立派だけど公的な行為ではにゃーのだ。だいたい、「いい親」と「社会的に立派な人」というのはぜんぜん違うものですからにゃー。

とある典型的な「公」論


  和辻によると、私たちにとって最も身近な私的存在は、男女二人の関係です。男女は心身の全体をもって互いにかかわり合い、二人の間では「私」が消滅しま す。このプライベートな関係が世間に公認されるのが、婚姻です。これによって、男女関係は夫婦関係となります。婚姻は、男女関係という私的なものを、公的 なものに変えるのです。次に夫婦という二人の共同体に子供が誕生すると、親子の関係となり、三人の共同体となります。さらに子供が生まれると、兄弟姉妹の 間には同胞共同体が生まれます。


夫 婦・親子・兄弟等による「家族」は、さらに「親族」という、より公的な人倫組織の一部に含まれます。親族の間では、それぞれの家族の事情は「私」的なもの となるからです。次に親族は「地縁共同体」(地域社会)へ、「地縁共同体」から「経済的組織」(企業・組合)へ、「経済的組織」から「文化共同体」(民 族・エスニック・グループ)へと、より高次の段階に包摂されます。どの組織も、前の段階の組織が持つ「私」を超えることによって実現されます。そして、よ り「公」的で開放的な性格を持ちます。しかし、同時に、後の段階に対しては、より「私」的で閉鎖的な性格を持っています。このように「公と私」は、階層的 で入れ子的な構造をもっていることを、和辻は明らかにしています。


こ うした「公と私」の階層構造において、「国家」とは、「私」を超克した「公」そのものであるところの人倫的組織であると考えられます。日本という国の中に おいては、国家は最大の公共社会であり、政府は公共的な意思を実現する機関です。そして、この日本国と日本国民統合を象徴するものとして、わが国には天皇 が存在します。それゆえ、天皇は日本における「公」を象徴する存在といえます。


http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion01b.htm


和辻を読んだことがにゃーので、引用元筆者の和辻解釈の妥当性についてはわかんにゃーです。
まあここでは、

  • 個人<夫婦<家族<地縁共同体<経済的組織<文化共同体<国家

という階層的な入れ子構造において、より包括的なものがより公的だと主張されていることが重要でしてにゃ。ここに理念的な領域設定はなく、あるのはただの大小関係・包含関係だけですにゃ。
つまり、ここでは個人や夫婦関係からは「子供を守る」は公的なことになるわけにゃんね。公的か私的かは視点によってコロコロと変わるわけだにゃ。そして、絶対的な公的性格というものは国家に帰するということになりますにゃー。
典型的な言説にゃんな。


で、このあたりは小林よしのりの言っていたこととだいぶ重なっていたはず*1

小林が語ったのは「オホヤケ」

読者諸賢はすでにわかっているだろうけど、先ほど引用した公についての議論は、古代日本における

  • 【 ヤケ<オホヤケ<クニ】

となんら変わるところがにゃーですね。
ある特定の行為は、視点次第で私的とも公的ともなりますにゃ。現実的には、より強いモノ・より大きいモノが公的とされることになりますにゃ。で、最終的な公的性格は国家に独占されることが最初から決まっているわけですにゃ。


そして、この私的と公的が単に大小関係だけできまるのっぺりとした連続性は、

  • 私的なるものの拡大

と解釈することもできるのですにゃ。「私的なるものは「国家」においてゼロとなる」と反論されるかもしれにゃーが、この「国家」観とは家族の擬制にゃんからな。テンノーというのは「日本という家族の家長」というのがこの国家観にゃんからね。臣民は天皇の赤子なのだにゃ。
つまり

  • 個人から国家までをなめらかにつなぐ【オホヤケ】の入れ子構造は、徹底した「私的なるもの」の論理によって貫かれている


そして、この「オホヤケ」の極限としての国家観からは、【愛する者のために命をかけろ】という本来であれば私的領域の論理をそのまま企業(経済的組織)が、あるいは国家が使いたい放題となりますにゃ。そして、【愛する者のために命を】最終的なオホヤケであるクニに捧げよ、というのがまさに小林の言っていたことにゃんな。
ま、【愛】ってのはそもそも私的領域における価値ですからにゃー。


というわけで、小林あたりが言っている「公」というのは、古代日本の「オホヤケ」であって、それは実のところ「拡張された私的なるもの」でしかないことは簡単だけど論証できたと考えますにゃ。

では公共性とは何か?

では近代の自由民主主義的個人主義における公共性とは何か? 個々人は公的な存在であるとまず認めることが出発点にゃんね。

  • 人種民族性別門地信条などにかかわらず、僕が公的な存在であるのと同様に、あなたも公的な存在であること


この考え方における私的領域とは「他者のいないところ」となりますにゃ。自分の部屋でどんなHENTAIオナニーをしようが勝手ということにゃんね。ただし他人にHENTAIオナニーを見せたり強要するな、と。

僕が公的な存在であるのと同様にあなたも公的な存在であるのだから、僕があなたを自分の好き勝手にすることはできませんにゃ。つまり

  • 公共とは他人のこと

となりますにゃ。お互いに公的存在なのだから自分勝手は通らない、というのを日本国憲法では「公共の福祉」といっているようですにゃー(一元的内在制約説)。


小林は「個と公」と言っているけど、自由民主主義においては「個が公」なのですにゃ。
自由民主主義の考え方をまったく理解していにゃーから、「個と公」という対立軸で何かを語った気になっちゃっているけど、実は小林のいっていたのは「私的なるもの」の入れ子構造あるいは拡張でしかなかったわけですにゃー。彼らは「私的なるもの」しか理解できていにゃーのだ。


小林に限らず、本来は私的領域の価値である【愛】を公的なるものへ要求するというのはとんだ倒錯にゃんね。【愛】の適用対象がおかしいんだから、これはもうHENTAI。近代における公共というものを理解しておらず、私的なるものを拡大して国家を語ろうとすると【愛国】などというHENTAIにおちいるわけだにゃ。
もちろん、HENTAIはHENTAIでちっともかまわにゃーのだが、他者に自分の性癖を押し付けるのは勘弁してほしいんだよにゃー。公共領域で必要とされるのは他者への尊重であって、愛なんざいらにゃーんだな。

補足1 愛について

愛って言うのはどうも他者性を否定するところがありましてにゃ。例えば恋愛・性愛においては、自分と相手との境界がとろけるような感覚がキモですにゃ。また、親子関係においても、ガキが小さいほど親子の間は融即的な関係があるし、それはガキにとって必要不可欠なことでもありますにゃ。
家族が愛で繋がっている、ということは、見方を変えればお互いにぐちゃぐちゃどろどろっていうことでしてにゃー。


このぐちゃどろってのが家族の良いところでもあるけど、最悪のところでもありましてにゃ。例えばガキにとっては必須であると同時に、虐待の基でもあるという・・・


また、愛には排他性がありますにゃ。もちろん、愛せない対象を愛する必要なんてさらさらにゃーわけだ。だからこそ、愛は私的な領域に留めるべきものになるんですけどにゃ。公的なモノが愛を求めるというのは、愛を強制することになるわけ。グロテスクだにゃー。

補足2 パトリオティズムについて

この駄文を書くきっかけになった説明要求は、計量社会学者の han_org こと金明秀氏*2からのものでしたにゃ。彼とは以前、ツイッター上でパトリオティズム(郷土主義)について話したことがありますにゃ。


han_org: nationalism と patriotism を対置させて、前者を否定し後者を肯定するのは、時代や洋の東西を問わずに人気のあるストーリー。だけど、実証研究に照らしていえば、そう簡単な話ではないんだなぁ。
2011-01-31 12:31:18


han_org:パトリオティズムナショナリズムがあるとき、前者はとにかく差別的な性質を持つことが明らかであるのに対して、ナショナリズムは必ずしもそうではない。一定の差別的な性質を示すこともあるが、無相関であったり、場合によっては負の相関を示すことすらある。
12:41:13


地下猫:これは興味深い。パトリオティズムというのは包括的な性質を持つからでしょうか?
12:50:58


地下猫:状況によるのでしょうね。カルデロンさん一家の事例では、パトリオティズムが一家を包含して隣人として遇し、ナショナリズムが一家を排斥にまわったようなイメージを持っています。
12:53:52


han_org: パトリオティズム的 なナショナリズムというのは即自的な側面が大きい。なにせ、原初的で自然発生的な愛着がベースだからね。それは、ある意味では美しいものだろう。多くの人 が称揚したがるのも理解できる。でも、そこにとどまったままでは、そこに付随する差別的な特性を見過ごすことになるだろう。
14:08:54


文章を書きつつ、上記のやり取りを思い出していましたにゃー*3
ここで han_orgは「私的なるものの拡張」としてパトリオティズムを捉え、僕は他者の尊重という公共性の萌芽を地域社会に見ていたのだと思いましたにゃー。
地域社会というのは、現実に「私的なるものの拡張」と「他者の尊重という公共性の萌芽」の綱引きの場であるように思えますにゃ。以前、id:sk-44表現の自由をめぐる議論をしていた際にも、僕は地域共同体重視の姿勢を出していたけれど、これは地域共同体における他者の尊重、あるいは「オホヤケ」への反抗への期待というところもあったのだといまさらながら思ったりしておりますにゃー。

*1:すまぬ、手元に小林の著書がない。小林の著書から引用して批判してくださる方、大歓迎

*2:本名なので敬称付。ブログ http://han.org/blog/

*3:参考;http://togetter.com/li/95479

保守派なら民族教育は公費で


だいぶおそくなったけど、自由主義なら民族教育は公費で - 地下生活者の手遊び への応答に対する再応答ですにゃ。


民族教育以前の問題として

教育というのは、そもそもガキどもが将来において自分で食えるようになるために行われるものですにゃ。また、ガキどもが大人になったときに、自分で食えるようになってもらわなければ、社会の側も大弱りなので、教育を行うことは社会の側にもガキの側にもその親にとってもメリットがありますよにゃ。


そして、自分で食うということは現実には他者との協働*1によるものであり、他者との関係性を基盤に行われる仕事というものが、僕達の幸福感の重要な源泉のひとつでもあるわけですにゃ*2


つまり、教育を受ける権利・働く権利・幸福になる権利、というのはひとつづきのものであり、各人が教育を受け・働き・幸せになるということは社会全体にとっても必須ということになりますにゃ。個々人の幸福と社会全体の利益が教育において双方矛盾なく実現されるわけにゃんね。


義務教育を公費で行うことについて文句を言うヒトは、だからほとんどいにゃーわけだ。
誰にとってもメリットがあり、やらなければ誰にとっても困ったことになるわけですからにゃー。
個々人の幸福を重視する立場と社会の利益を重視する立場のどちらからも、基本的な教育を公費で賄うことに反対することにはなんにゃーわけだ。


では、どこまでが基本的な教育か?
現代日本を含むいわゆる先進国においては、高校教育は半ば義務教育に近いものになっているのではにゃーかと思われますにゃ。なんせ、高校卒業してにゃーと、ガソリンスタンドやコンビニでのバイトすらさせてもらえにゃーことがフツーにありますにゃ。高校を出てにゃーと、就業がヒッジョーに制限されますにゃん。
つまり、
高校に行きたいガキが行けにゃーってのは、ガキとその親が困るというだけでなく、社会の方にとっても実に困ったことになるというのがここでの前提にゃんね*3
ガキの教育にカネを惜しんだ結果、就業が変に制限されてしまって個々人の能力が活かせず、生産性が低いままであってはガキも不幸だが社会も困るわけ。これからジジババが増えていくってのに、個々人の生産性があがらなきゃ社会のほうがまいっちんぐマチコ先生。おちおち歳もとっていられにゃー。


ちゅうわけで、高校【無償化】というのはバリバリの保守の視点からも基本的に正しいのだにゃ。個々のガキの経済状況に関わらずそれなりの教育を受けさせて労働能力を底上げするのは社会の側にとっても必要なことなのだにゃ。企業を経由した「日本型福祉」とやらが破綻しちゃった以上、政府が直截的に教育機会を保証するしかにゃーのよ。


と、この辺りまでが前提ですにゃ。
では本論に入りますにゃー。

民族教育を考えるために

以前の民族教育エントリへ寄せられた応答で、再応答が必要と判断したものは3つですにゃ。


この3つの応答に対してざっくりと応答するにあたって、というかマジョリティの文化とマイノリティの文化を考えるにあたって、

の2つの記事は必読だと考えますにゃ。是非とも読んで欲しい記事だけど、とりあえずここで重要な論点を挙げますにゃ。

  • 民族文化は変容しうる
  • 外部からの介入(=文化の客体化)は民族文化の変容を往々にして阻害する


リンクした記事の文脈における【文化の客体化】とは、女子割礼に対する西欧の人道主義的介入によっておこり、柔軟に文化が変わっていくことを妨げる要因とされていますにゃ。
この【文化の客体化】という概念は民族教育をめぐる問題に適用できるんじゃにゃーのかというのが、この記事のモチーフにゃんね。

id:swan_slabブコメに応答

cf.http://d.hatena.ne.jp/mescalito/20080606/p1 (「民族」の人権という考え方について)参考まで。それに加えて教育権論争(国家vs親)も参戦することになる難しい問題と思います。

ブコメでリンクされた記事、http://d.hatena.ne.jp/mescalito/20080606/p1 において提起された問題は、

  • 1)保護されるべきだ、とされた中間集団の内部で、内部の個人に対して人権抑圧機能を持っているケースで問題が顕在化
  • 2)政教分離原則を掲げる国家において、特定の文化や宗教を国家が特別扱いすることにより、政府の政治的な中立性が損なわれる危険性


さて、(1)の「中間集団の内部で、内部の個人に対して人権抑圧機能を持っているケース」に対しては、その人権抑圧機能を固定化するものこそ【文化の客体化】なのではにゃーのかと考えますにゃ。
在日朝鮮民族アイヌ・ウチナンチュに対して日本政府が一貫してとってきた同化政策とは、【文化の客体化】としかいいようがにゃーと僕は考えますにゃ*4
で、今回の朝鮮学校【無償化】外しというのも、露骨な同一化政策にゃんね。筋違いの懲罰的措置が朝鮮学校の【文化】をますます客体化しておりますにゃ。
しかし
朝鮮学校が今のままでよいと考える在日のヒトタチって、例えば僕のツィッターTL上にもほとんど見られにゃーですね。そして、日本政府が無償化外しのような嫌がらせをしてくるのなら、かえって朝鮮学校を変革することの足かせになるという旨の声も聞こえるんですよにゃー。まさに【客体化】の問題が顕在化しているのではにゃーかと。


これは(2)とも関連するんだけど、以前のエントリで書いたように

  • 日本における普通教育とは、日本民族教育である

のですにゃ。いただいたid:Mukkeのトラバ記事からの孫引きによれば


……国家が公式の教会を持たないことは全く可能である。しかし,国家は,公教育や自らの公共サービスにおいてどの言語を使用するかを決定する時に,1つの文化を少なくとも部分的に体制化せざるを得ない。国家は裁判所での宣誓を宗教的なものから非宗教的なものに換えることはできる(し,またそうすべきである)が,裁判所での英語の使用をやめていかなる言語も使用しないことにすることはできない。


ウィル・キムリッカ(角田猛之/石山文彦/山粼康仕監訳)『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義晃洋書房,1998,p.167。


swan_slabは特定の文化を特別扱いすることを問題視しているけれど、僕はむしろ「日本文化の特別視」の自明性に疑義を持っているのですにゃ。日本社会において日本語という言語が主要言語であることは動かにゃーだろうけれど、その特権性を相対化してもいいのではにゃーかと。日本人として、朝鮮語・朝鮮文化という隣人の言語・文化を特別視せよというのではなく、自らの言語・文化を相対化してよいのではにゃーかと主張しますにゃ。


文化の客体化を招くことでかえって朝鮮学校の問題点を固定化するおそれがあること、および日本語・日本文化の特別視が無反省に前提になっていて、それこそ政府の中立性が損なわれているのではにゃーかという点で、朝鮮学校【無償化】外しは批判されるべきではにゃーでしょうか?


あとは、前提部分で述べた理屈ですにゃ。社会が持続的に成長するために、教育の直接給付をする必要があるという話にゃんね。
それと、教育権については今回はパスしますにゃ。すんごく好きな話題なんだけど。

ラリー(コメント欄)に応答

以前の民族教育エントリのコメント欄での「ラリー」のコメント
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20110218/1297965006#c1298586938
への応答ですにゃー。


別に僕は「なんでもありの教育の自由」を求めているつもりはにゃーのです。
前提の部分でも書いたように、まずは個々のガキがハッピーになること、そしてそれは社会が豊かになるためにも必要なことだと考えますにゃ。


少数民族の子供の民族アイデンティティー獲得が大切であることには同意しますが、それと同時に、マ イノリティーに属する子供だからこそ、その子供が暮らす国の主流社会でも、ディスアドバンテージを抱えることなくマジョリティと同等に生きていけるための 教育確保も、なおさら重要なのではないでしょうか。

然り。
だからこそ、ここでは【無償化】外しが文化の客体化を招き、朝鮮学校生徒がディスアドバンテージを抱えることがさらにすすんでしまうことを批判したいわけですにゃ。
ほとんどの在日韓国・朝鮮人にとって、日本社会で生まれ育ち、この社会で骨を埋めることはほとんどデフォルトですにゃ。だから、外部からのおかしな圧力(客体化)がなければ、それなりに合理的な選択に落ち着くのではにゃーだろうか? 自分の子孫の実際の生活よりも抽象的な文化が大事だ、と抜かすお方はいても多数派にはならにゃーだろう。
それに、ほとんどの大学が朝鮮学校卒を大学入試資格として認めていることからも、現在の朝鮮学校カリキュラムは日本社会で生きて行くことを前提とし、適応したものになっているのではにゃーかな?
無償化外しなどの【客体化】促進をやめれば、朝鮮学校のカリキュラムは今よりさらに日本社会に適応的なものになるのではにゃーだろうか。在日韓国・朝鮮人の主役はすでに3世以降であり、僕の知っている限りでは彼らは教条的ではなく柔軟だにゃ。
ただし、
差別・排除がひどければひどいほど【在日同胞】の関係は生きる上での資源として切実な意味を持ちますにゃ。同胞の間で仕事を回さなければ生きていけにゃーからね。日本社会が差別的であればあるほど、文化の客体化がすすむほど、在日社会内部のネットワークが生きる資源として重要なものになっていくわけだにゃ。文化だけじゃなくて、いろんなものが【客体化】されて固定されてしまうわけにゃんね。



諸外国の公立校での民族語教育を、在日朝鮮人の民族教育を受ける権利の根拠とするのは適切か。という疑問。

ここに関しては、別に朝鮮学校を特別扱いしろと言っているのではなく、他の外国人学校と同じように扱えと言っているだけですにゃ。


アイデンティティーとはそもそも国が積極的に教育の場に持ち込んでまで責任を負うべき事柄なのか、という疑問。アイデンティティーって民族性だけじゃないですよね。例えば、性別、性的志向もそう。

ジェンダーや宗教に関して公権力がニュートラルでいることはできても、言語・民族文化に関してニュートラルでいることは不可能だということは先ほど孫引きした キムリッカの議論からも明らかですにゃー。
つまり、自由主義の公権力は、宗教やジェンダーについてはニュートラルであることを心がけねばならず、民族文化や言語についてはニュートラルでありえにゃーことを徹底的に自覚する必要があるということですにゃ。その意味では、まさに自由を現実のものとするためにこそ、マイノリティの民族文化・言語アイデンティティを積極的に認めていくことが必要なのではにゃーだろうか?


歴史的な経緯とか帝国主義の遺物という観点を持ってくると、教育を受ける権利とかっていう普遍的なテーマで議論してもあまり意味が無いような気が。。。

ここでいう【文化の客体化】は日韓併合から今回の無償化外しまで、連綿と続くことの一環にゃんね。「歴史的な経緯」とは過去のことではにゃーのだ、ということは重要だと思いますにゃー。


で、これもあとは前提部分で述べた話ですにゃん。お互いに勉強して働いてハッピーになろうよ、というだけでしてにゃ。

id:Mukkeのトラバへの応答

なるトラバをいただきましたにゃー。
キムリッカの引用は使わせてもらっているにゃ、さんきゅーね。


まず、特定の民族の国家であると規定された国家があるってのは教えられるまで知らなかったにゃー。言われてみれば、民族運動と結びついて独立した国家にはそういう規定があっても不思議ではにゃーな。これは実はスタンダードな国家規定で、逆に、旧帝国主義国家にはこういう規定がにゃーということかもしれにゃーですね。


地下猫さんの仰るように,先住民族(日本だとアイヌ民族琉球弧の人びと*5が該当する)への民族教育は公費で賄われて当然だ。朝鮮民族先住民族ではないが,オールドカマーの場合,日本による植民地統治期に土地を収奪され,困窮して「本国」に流入したケースが多いことから,これは植民地責任ということで,公費で民族教育を引き受けるべきだろう。

 だけど,それ以外の非先住マイノリティに対しても,民族教育を全額負担で行う必要があるのだろうか? 僕にはそこが疑問に思える。彼らは自発的にわが国にやってきた人びとではないのだろうか?

さて、本題はここにゃんね。
日本社会へのニューカマーとしては、日系ブラジル人が代表ですにゃ。


で、この話については、すでに

において言及されていますにゃ。
こんな新聞記事もあるにゃー。


 移民問題に詳しい静岡文化芸術大准教授のイシカワ・エウニセ・アケミ(40)は国の「地方任せ」に問題を感じている。「永住者として日系ブラジル人を受け入れながら、その子どもたちの教育を考えずにきた」と。

 実際、20年近くも前に「労働力確保」の国策として日系人を受け入れ始めたのに、文科省がその子どもたちの教育指針をまとめようと専門家らの検討会をスタートさせたのは、なんと先月だ。

 日本経済の成長の陰で、置き去りにされてきた子どもたち。国の支援を心待ちにする現場のあがきが、今日も続いている。


http://www.chunichi.co.jp/shizuoka/hold/emigrant/CK2007101302056741.html


国策で永住者として迎え、ガキの教育についてもほとんど【棄民】扱いにしか思えにゃー。 トラバ記事でid:fut573のいっているように、ニューカマーの高校進学率が60%ってのはさすがにまずいだろ? ガキにとっても親にとっても社会にとってもいいことにゃーわけだ。


ここで言及している言語権とか教育権とかに限らず、ジンケン遵守というものは優れて現実的な【相互安全保障原理】かつ【協働作業による利益増大の前提】だと僕は考えておりますにゃ。お互いを騙して利用しようなどというのでなければ、ジンケンを守ることは自分と相手を守り、そしてまあたいていは協働作業による利益を大きくしてくれるものではにゃーかと思ってんの。


この場合でも、日系ブラジル人のガキの言語権を尊重した教育をしてあとで本人に税金で払ってもらったほうが、ガキにとっても日本社会にとってもメリットがでかいのではにゃーかと思うのですにゃ。ポルトガル語の素養があるガキってのは日本社会にとっても大きな財産にゃんぞ。ブラジルは資源大国にゃんからな*5
というわけで、ここでは言語権の尊重は双方のメリットと主張しますにゃ。

おわりに

ながくなっちった。
今回はあえて、保守派の・マジョリティの・統治者の視点として合理的な選択は何か、を前面に出して書きましたにゃ。もちろん、保守というのはまともなひとつの立場であって、ニンゲンを使い捨てにしてよいというのは豚であって保守ではにゃーわけで、豚ではなく保守であり、社会を持続的に安定的に成長させようというのなら、民族教育や言語権(ジンケン)に対してはこのあたりが合理的な態度なんではにゃーかな。
しかしまあ
なんで僕がこんな保守バリバリのことを書かなきゃならんとは、憂さ晴らしに「盗んだバイクで、飛ばすぜハイウェイ、オールナイトのステージ。Baby We were Born to Run !」*6してえよ。

*1:協働にもいろいろなレベルがあるし、あってよい。だが少なくとも他者と完全に隔絶した仕事というのは存在できない

*2:まあ、不幸も関係性から生まれてくるんだけどな

*3:高校教育という選択肢だけの問題でなく、若年層へのまともな職業訓練〜就業へのコースが確立されていないことを問題視するというのも当然ありえる

*4:差別こそが【文化の客体化】のもっともたるものとも言えるだろう

*5:なお、朝鮮学校が日本社会にもたらすメリット、という視点については 朝鮮学校が日本に存在する5つのメリット - Whoso is not expressly included を参照

*6:馬鹿ロック三連発 尾崎豊「15の夜」 Johnny「ジェームス・ディーンのように」 Bruce Springsteen “Born to Run”

「ヤクザの3割は在日」というお笑い都市伝説


前回エントリのコメント欄に、例によって有象無象が湧いてきましたにゃ。
朝鮮高校無償化や外国人労働者問題など、外国人差別がらみのことを書くと、きまって湧いてくる連中というのがいますにゃー。
で、
朝鮮高校無償化問題で、粘着を続ける馬鹿がひとりいるんだけど、それがコメント欄でこんなことをおっしゃってましてにゃ。


在日朝鮮人の日本人口に対する割合は0.3%、それで、ヤクザの30%は在日朝鮮人


http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20110218/1297965006#c1298473057

そのソースを出せといったら、出してきたのは*1

「俺はどっかの馬鹿とちがって、ソースのないことは言わないの。」と彼は仰せですにゃ。


ぐぐってみると、在日にヤクザが異常に多いとかいう差別主義丸出しの豚言論の根拠として、この「ソース」とやらは流通しているようにゃんな。
どうしようもねえ。
ちゃっちゃっとつぶしておきますにゃ。

ありえねえだろ1

以上のページから【新受刑者中暴力団加入者の国籍】に関するデータをひとつの表にしますにゃ。

年度 総数 日本 韓国・朝鮮 中国 アメリカ合衆国 その他 韓国・朝鮮国籍の比率
2009 2960 2902 53 1 - 4 1.80%
2008 3265 3191 63 5 2 4 1.93%
2007 3665 3589 68 3 - 5 1.86%


というわけで、直近3年間の統計資料を出したけれども、過去においてもだいたい同じような傾向のようですにゃ。
すなわち、

  • 【新受刑者中暴力団加入者の国籍】における韓国・朝鮮籍の比率は2%にも満たない


「ヤクザの3割が在日」という主張は差別主義者の脳内夢想というのがこれだけでもわかりますにゃ。

ありえねえだろ2

から引用しますにゃ。


在日コリアン暴力団に占める割合を3割前後と仮定した場合、在日コリアン暴力団員は約2万人〜2万5千人程と推測される。
中略
仮に在日コリアン暴力団関係者の人数が2万5千人だったら、在日コリアンの成人男性の9・6人にひとりは暴力団って事になる※含高校生(笑)!
中略
感覚的には「日本人女性の5人に1人はゲイシャ」とか「日本のアマチュアスポーツマンの10人に一人はスモウレスラー」って言われているような感じでしょうか?


リンク先前半はそのまま引用したけど、後半については結論だけ述べると

  • ヤクザの3割は在日、という前提に従えば
  • 在日コリアン暴力団員も多いが、そうではない一般市民が犯罪を犯す確率はほぼ0%
  • 一般の在日コリアンは日本人よりも遥かに善人であるって事になる


ということになってどう考えても滅茶苦茶。
リンク先は数字をあげながら丁寧に論証しているので興味のある向きはご確認のほどを。

ありえねえだろ3

そもそも概念がおかしい。
暴力団」というのは暴対法により法的に規定されているものであり、「ありえねえだろ1」であげた統計における「暴力団加入者」もそれに基づくと考えられますにゃ。

指定暴力団22団体中、関東に2つ東京に4つ、千葉に1つ*2あることをのぞけば西日本に集中していますにゃー。
しかし
ヤクザというのは博徒テキヤも含む概念であり、ちょっと広めるとチンピラや愚連隊なんかも入れられちゃいますにゃ。さらに広義には反社会的な組織を指したりしますよにゃー。


一般的な「ヤクザ」の用法にしたがって博徒テキヤをヤクザにいれたとすると、東海、東北や北海道にもヤクザはいても指定暴力団は原則的にはいにゃーことになる。


で、以前にも書いているとおり、僕の母親と何十年も内縁関係にあるのは静岡の元ヤクザの幹部でしてにゃ。僕の養父みたいなもんだ。
直接聞いたところによると、
「このあたりの極道に朝鮮は、まあいないわけじゃない、という程度」
といっておりましたにゃー。


つまり、「ヤクザ」という曖昧な概念のなかで「同和が6割、在日が3割」とかいいだしちゃうことそのものがもうすでに情報弱者。東海、関東、東北、北海道における「ヤクザ」に「同和や在日」がそんなにいるわけにゃーだろう。

ありえねえだろ4

ソースとされる発言をした菅沼光弘氏は別に暴力団対策の専門家ではにゃーようだ(ウィキペディアの経歴を参照しただけだけど)。
で、専門家でもにゃーお方が、山口組No.2の発言としてダダ漏れにしたのが「ヤクザの6割は同和、3割は在日」発言にゃんね。つまり、山口組No.2の発言としてすら一次情報ではにゃー。僕が検索した限りでは、山口組No.2に確認したというソースすらにゃーわけね。


あまりのことだから繰り返すにゃー

  • 専門家でもないおっさんの伝聞で、「ヤクザの親分さんがこういってました」

これが、「ヤクザの6割は同和、3割は在日」の唯一の【ソース】ですわー。
しかも、数字をもって検証すれば、もうボロボロもいいところ。
こんな【ソース】(笑)をもってくる連中は情報弱者で他人に踊らされるだけの差別主義者と断じていいのではにゃーの?

「6割」の部分について

「ヤクザの6割は同和、3割は在日」というダークファンタジー発言の「3割は在日」については各種統計をもってはっきりと否定できるけれど、「6割は同和」という悪質な発言については僕の検索能力でははっきり否定する材料は見つけられませんでしたにゃ。
もちろん、被差別部落の地域的偏在性とか割合とかから考慮すると、相当に馬鹿馬鹿しい発言であることはわかるし、「3割は在日」部分がくだらん戯言である以上、「同和」の部分もとりあえず却下しておいたほうがいいのではにゃーだろうか。

情報弱者の伝言ゲーム

さて、今回いろいろと検索していてオモチロかったのが、「ヤクザの6割は同和、3割は在日」という与太発言が伝言ゲームとして伝わっているあたり。
疑似科学関連で、願望だけが先走る伝言ゲームというのをいくつも見ているけど、これも十分に笑わせてくれる伝言ゲームにゃんなあ。
まず

  • ヤクザの6割は同和、4割は在日

スゲエだろ? ぐぐってみると結構見つかりますにゃー。
同和でない日本人にヤクザはいにゃーんだってさ。

  • 風俗嬢の6割は同和、3割は在日

これを見たときには腹筋が引きつったにゃー。ググるとホントにあるよー。


「ヤクザの親分さんに聞きました」という荒唐無稽な伝聞情報で始まる伝言ゲームの帰結としてはこんなもんかにゃ?
民族差別・身分差別と女性差別が見事に連携していく事例の典型でもありますにゃー。

*1:精確には本人が出してきたものではないが、本人がこのソースだと承認している

*2:この部分 2/24 19:30ごろ訂正

自由主義なら民族教育は公費で

民族教育は公費で行うのが当然

日本も批准している国際人権規約(B規約)に


第二十七条
 種族的、宗教的又は言語的少数民族が存在する国において、当該少数民族に属する者は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。

との文言がありますにゃ。
他にも、子どもの権利に関する条約、人種差別撤廃条約にもこうしたいわゆる「マイノリティの文化アイデンティティ享受権」とでもいうものを保障しておりますにゃー。参考:http://www.ne.jp/asahi/m-kyouiku/net/jouyaku.htm


で、この規約に基づいて多くの自由主義諸国では、民族(語)教育を全額公費で行っているわけだにゃー。この民族(語)教育は、公立学校内で行われているようですにゃ。
例えば、

の10〜12分くらいのところでも少数民族の民族(語)教育が全額公費で行われるのが当然だということがわかるでしょうにゃ。リンク先を見れば、ドイツおよびマレーシアにおける少数民族言語教育が政府の責任において全額公費でなされていること、そしてそれは当然のこととみなされていることが一目瞭然ですにゃ。
注意すべきは、例えばドイツにおけるトルコ人とか、マレーシアにおける中国人とか、別に先住民族はにゃーってこと。先住民族の言語教育を「征服民族政府」が保障するなんてトーゼンもいいところであり、現時点での「トーゼン」はマイノリティの民族(語)教育を公費で行うことなんだよにゃー。


人権後進国メリケンにおいてもトーゼンのことながら、
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/genbunronshu/23-1/uchida.pdf
にあるとおり、先住民の民族語教育は無償にゃんな。


ところで、日本では公立学校における民族語教育がまったくといってよいほど行われてにゃーんだな。朝鮮語はもちろんのこと、アイヌ語、沖縄語などの先住民族言語も公立学校においてほとんど行われてにゃー。
彼らの民族教育についての責任も日本国政府にあるのは当然なのに、日本国政府は在日の民族語教育について公立学校においてまったく何の手当もしてにゃー。


在日韓国人日本国籍をとった元朝鮮籍・韓国籍のヒトにも朝鮮学校に子弟を通わせる者がいるが、これは民族語教育がほとんど朝鮮学校においてしかなされてにゃーことに大きな原因がある。朝鮮共和国(北朝鮮)のショーグン様には違和感を持ちつつ、民族(語)教育のために朝鮮学校に通わせた在日の親御さんも多いだろうってこと。僕の知り合いにそういうヒトいるにゃ。
これって
日本国が在日の民族(語)教育の責任をほっかむりして、在日の子弟を朝鮮学校に「追いやった」という解釈もできにゃーことにゃーのよ。


仮に、朝鮮共和国が日本にとっての「敵性国家」であり、朝鮮学校が敵性国家の思想教育をしているとして、その敵性国家の思想教育に在日の子弟を追いやっているのは、日本国が少数民族の民族(語)教育にほっかむりしているから。日本国自らが批准した条約を守ってにゃーから、在日は朝鮮学校に子弟を通わせざるをえにゃー、という側面が確実にあるんでにゃーの?
もしも
日本国が公教育において責任をもって在日への民族(語)教育をしていたとしたら、朝鮮学校はどうなっていたんだろうにゃー?


ま、何にしても日本国政府は、自らが批准した条約の趣旨にもかなった行為として、在日への民族(語)教育を公費でやる責任を果たすべきにゃんな。それは世界の多くの国が当然のようにやっていることでもあるにゃ。

本来ならば公立学校で在日(アイヌ・ウチナンチュなど)への民族教育を行う態勢をつくるのがスジにゃんが、カネも手間もえらくかかりますからにゃー。将来的には公立学校でそれらを行うとしても(特に帰化した元在日の方達への民族教育のルートを確保する必要があるように思う)、現段階では在日への民族(語)教育については、ノウハウと人的資源がある朝鮮学校に公費を支給してお願いするしかにゃーんだろな。
日本政府がやるべきことをお願いするわけだから、運営に口をはさめるようなスジではにゃーと思いますけどにゃー。


あ、いわゆる朝鮮高校「無償化」については、基本的に学校組織への支給ではなくてガキども個々人への支給だから今書いていた理屈以前の話ではやいところ無償化しなければんらにゃーけどな。

普通教育とは民族教育である

公立学校の普通教育ってのは、実は民族教育のことにゃんね。これは特に初等教育において明らかですにゃ。
例えば、正月にはコマ回しや凧揚げ、節分には豆まき、3月3日はひな祭り・・・などはすべて日本民族の風習にゃんね。で、これらの風俗文化は初等教育において学校行事に組み込まれ、日本の民族文化をガキどもが学んでいくわけだにゃ。
つまり
公立学校の普通教育においては、ごくごく当然のように日本民族教育が行われているわけですにゃ。別にそれがワリイといっているのではにゃーよ。しかし、普通教育=日本民族教育、という自覚が必要ではありますよにゃ。


なら、在日、アイヌ、ウチナンチュなどへの「普通教育」が彼らの民族教育となるってのも道理なのだにゃ。日本国ってのは「日本民族の国」ではにゃーのだよ、憲法にもそんなこと書いてにゃーし、そもそもそんなもん近代国家ではにゃーの。

表現の自由との関連

表現の自由を成立させるためには、表現する中身としての「思想・信条・良心の自由」が保障されなければならにゃーよね。内心の自由ってのは絶対的自由であるとはいえるんだけど、その内心の自由を成立させるための基盤として「学問・教育の自由」があるともいえるわけですにゃ。
勉強できなきゃ思想もクソもにゃーし、思想がなければ表現する中身もにゃーわけだ。学問・教育の自由がなければ、表現の自由は実質的な意味を持たなくなりかねにゃーってこと。


で、
民族教育を受ける権利ってのは、この教育の自由のど真ん中なんだよにゃー。
ここを否定しちゃうと、表現の自由もクソもにゃーぞ。

その他

昨年に書いた記事 朝鮮学校無償化に反対するのはゲス - 地下生活者の手遊び
に、未だにアホなコメントがつくのでまとめて書いてみましたにゃ。以前に記事を書いたときと比べて改めたところもありますにゃん。なにせ、当時は「言語権」という考え方をしてなかったからにゃー。
ほかにも いろいろいいたいことはあるけど、この問題に関しては

が非常によくまとまっていると思いますにゃ。馬鹿のわめくほとんどの論点はこれでつぶせるのではにゃーだろうか。


根本的にはこの社会をどうしたいかのイメージの問題なんだろうにゃー。

  • いろいろなヒトが好き勝手なことしている社会が自由で豊かな社会

というのが僕の望ましいイメージで、そのためには教育にコストをかけるのが前提となるということにゃんな。


ま、表現の自由が好きな向き、市場が大好きな向きには、民族教育の責任というものが社会にあることは当然にわかっているはずという確認でしたにゃ。移民の議論もここが前提な。
国際人権規約ってのもさ、市場ベースの自由主義と相補的な関係にあるものですからにゃー。それだけにとどまるものでもにゃーけど。

はあ? 労働問題だから差別問題じゃないだと?

前回エントリのコメント欄とブクマコメで、認知的不協和を起こしたお歴々が大量発生しているようですにゃ。

not only労働法無視 but also外国人差別


一番多く湧いていたのは、「これは労働問題であって外国人差別の問題ではない」という低レベル詭弁にゃんね。

id:nofrills
非常にシンプルな「not only労働法無視 but also外国人差別」の話が通じない。「今の日本は日本人だって大変なんだ、外国人が大変なのは当たり前」という奇妙な境界線設定の上での詭弁のほうが通りやすいのか。愕然とする
2010/11/30 前回エントリブクマコメより


基本的にはnofrillsのこのコメントでオシマイ。
そもそも差別と労働問題は論理的に排他的関係ににゃーどころか親和的。
でも、馬鹿にはわからない・わかりたくないだろうから少し突っ込んで説明しますにゃ。


そもそも労働基準法第3条において「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と書いてあるのはなぜなのか? 国際人権規約A規約7条において「この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。」とあるのはなぜなのか?

  • 差別というものは、ほぼ必ず労働における差別を伴うものなのだ

ということは、差別問題においても労働問題においても基本中の基本だからだにゃ。身分差別・性差別・人種差別など、労働条件に関係ナシの差別問題なんてのはちょっと思いつかにゃーぞ。


違法な労働環境でヒデエ目にあっている日本人はもちろん大勢いるけれど、日本人がヒデエ目にあうのだったら、外国人労働者はもっとヒデエ目にあうわけだにゃ。ブコメでの指摘もあったけれど、外国人研修制度なんてのは「搾取的で安価な労働力を供給し、奴隷的状態にまで発展している場合さえある*1」と国連特別報告者に言われておるにゃ。国連お墨付きの外国人奴隷制度にゃんな。

それでもだいぶマシになったほうですにゃ。というのも、去年までは外国人研修生には労働法の適用すらなかったからにゃ。


研修生は制度的な問題にゃんが、前回エントリのAさんは永住権を持っていましたにゃ。しかし、Aさんに限らず外国人は日本社会のことをよく知らにゃーわけだ。労働慣習も労働法もよくわかんにゃーよ。いくら達者とはいえ、日本語は外国語であって母語のような意思伝達ができるわけでもにゃー。
構造的な労働弱者なのよ。
だから食い物にされる。差別としかいいようがにゃーよな。


というわけで、Aさんの事例は差別であり労働問題である、という事例の典型なのよ。

正規ルート」について

正規雇用」というコトバがありますにゃ。 雇用期間および職務の定めなき雇用、いわゆる「正社員」として企業に雇用されることにゃんね。これ以外は「非正規雇用」と呼ばれますにゃ。
でね
外国人労働者の場合、外国でそれなりのキャリアを積んで日本企業にヘッドハンティングされたとか、日本国内でよほどの幸運に恵まれたとかでない限りは原則的に「非正規雇用」になりますにゃ。前回のAさんは、それなりに能力があっても日本の正規雇用のルートには乗れなかったわけにゃんね。
「いろいろとあって流れて日本に来たので、正規ルートでの日本の労働市場に入れず」
という前回エントリの記述はそれだけの意味。


コメント欄にも何人かここを問題視してるお歴々がいるけどにゃ、 Aさんは永住権を持っていると明言してるんだから、こんなことは問題にするのはそもそも筋違いでただのいちゃもんにすぎにゃー。とにかくケチをつけたいお方はここにすがりついたみたいだけどね。

文全体の意図の無視

前回エントリの結論部を再掲


誰かの「特権」を批判するのも勝手にやってもらえばいいんだけどにゃ。カネもコネも才能もない僕のようなニンゲンが、本当の意味で自分を守るためには、Aさんのような人が安心して働けるような社会を作ることしかにゃーと思うのよ。とりあえず助けあうしかにゃーよな。

僕がユニオンにクビ突っ込んでいるのは、自分のためだし、ガキのためだにゃ。


と、ここまで書いてあるのにコメ欄には

nack

>「外国人に日本の税金を使うな」とかいう日本人様のお声が大きいようですにゃ。
 というフレーズを初めとして、外国人であることを重視しているようにしか読めないんですけど。「日本人だろうが弱者は食い物にされる」旨の記述は見あたりませんし。
2010/12/06 20:57


tq
このトピックの外国人と同じようにブラック企業に苦しめられている人はたくさんいます。
なのに、そういう人が自分の取り分を少しでも多くしようとする事を冷笑的に評価し、
日本人どもよ甘えるな!まず外国人を支援してやれ!なんて無茶振りをすればするほど、
2010/12/06 22:26

などという白痴コメントがあって頭イテエ。「相手が労働法を知らず、しかもこちらを信じているとなると、企業はいかようにもヒデエことを平気でするわけだにゃ。」と書いてあるのが読めにゃーのかね?>nackくん。


これに対しては、やはりコメント欄での「匿名希・望」のレスをもって僕のレスにもかえさせていただく。


要は「勝手に来た外国人なんか助けなくて良い」という物言いと「派遣切りなんて自己責任」という物言いが見事に相似形を為していると。
つまり、外国人労働者問題は、その構造も日本人の非正規労働者問題と相似形であり無関係ではないって事じゃん。
2010/12/07 19:52


僕がかかわっているユニオンの活動、ブログなどで発言している外国人労働者問題あるいは朝鮮学校無償化問題について、根っこのところでは利益と合理性に基づいてよいと考えられる選択肢を提示しているつもりだにゃ。倫理と利益は根本的には合致する、が個にゃん的信念でね。

低レベルの因縁の数々

ついでに特に低レベルな因縁をいくつかさらし者にしておくかにゃ。まずはコメ欄から。

僕も職を失ってやむなく他国で働きますが、
調べてみるとやっぱり現地人は優遇されてますよ。

一通り調べてみましたが、やはり移民は現地人に比べて
冷遇されるそれはどこでもあります。
2010/11/30 16:03

あのな、「である」から「べき」を導くことはできにゃーんだよ。労基法にも人権条約にも違反しているんだぜ。「違法が横行しているので現状追認」ってか?

…外人差別者をひたすら叩き潰す事によって労働者の権利向上に資するって思ってるんならどうしようもないけど。
2010/11/30 17:50

一部だけ引用したけど、チミが今回のバカ大将にゃんな。
労働における差別の糾弾は、確実に労働者全体の利益だよ。チミのようなのを「肉屋を支持する豚」っていうんだぜ。

大抵の外国人労働者は、家族への送金を扶養控除として申請して全額の還付を受けてるよ
日本人から仕事を奪って、税金も払ってません
2010/11/30 21:23

送金が扶養控除になるとはしらなかったにゃー(棒読み
もちろん、日本人だろうと外国人だろうと、所得税法上の扶養家族の要件を満たせば、一人当たり38万円の所得控除があるけど、なんか問題あんの?
外国人労働者が日本人様と同じ権利を行使するのがお気に召しませんか? 

はてブにしてもここのコメントにしても、このエントリーが本当という前提で議論しているのにびっくりした。労働者の権利について議論するのにエントリー内容の真偽は必ずしも重要でないと言われるとそれまでだけど、どうも話が嘘臭くて気になってしまう。
2010/11/30 23:23

否定できないとウソ呼ばわりという恥知らずの典型。
僕はこのハンドルでヤフー掲示板から通算すると15年くらい発言しているけど、「自分の目で見た」といってウソをついたことはいちどたりともにゃーな。ネットを通じてリアルでの交友関係もあるし、ユニオンをやっているとも公言しているにゃ。
僕は自分の目でAさんを見て、自分の耳でAさんの話を聞いている、ともう一度いっておくかにゃ。ま、匿名通りすがりでウソ呼ばわりしかにゃーってのも惨めなもんだけどにゃー。

投稿者が何が言いたいのかわからん。
理解してほしいのならすべてを分かりやすく書け。
全てを明かさずに理解を求め、理解しない人を責めるのはズルいやり方だよ。
ああ可哀想な人が居たもんだね、と言われたいのか?
どのような職業と給与と待遇を求めているのか?
そもそも日本人の数多ある職場と労働待遇をいくらかでも把握しているのか?


と、技術職であり契約社員であり正社員より年俸多くもらってる自分は思う訳だよ。
つかなんで経済学学んで肉体労働なんぞしてんの?
お偉い大卒経歴と言語行かして働けば良いじゃん。
2010/12/01 12:09

にゃんとまあ、日本人に生まれるとこの程度のオツムで「正社員より年俸多く」もらえるとはにゃー。やはり日本人特権は実在するみたいにゃんなあ。
いいか? てめえがわからないのはてめえが馬鹿だからだ。
何度も書くけど「永住権がある」と明記してある時点で「正規ルート云々」はただのいちゃもんだにゃ。そもそも外国人差別の実態を少しでも理解していれば「なんで経済学学んで肉体労働なんぞしてんの?」なんてことを聞くはずもにゃー。
自分はまるで無知なのに「 そもそも日本人の数多ある職場と労働待遇をいくらかでも把握しているのか?」とか発言しちゃう恥知らずっぷりがスゲエ。

日本の労働法知りませんとか舐めてるとしか思えない
2010/12/03 16:27

人事や総務の職種についているヒト、法律職についているヒト、あるいは研究者あたりでないかぎり、外国の労働法についてひととおり知っているヒトなんて例外的存在なんだよ。だから外国人労働者は労働弱者なの。
そもそも日本に生まれた日本人で労働法を知らにゃーヒトなんていくらだっているだろが。ムチャクチャな因縁つけてるって自覚はあんの?


・・・もう面倒になったんでブクマコメを晒し上げるのはパス。
とにかく、わざわざ歪曲した誤読をしておいて文句をつける馬鹿の群れにうんざり。

日本が大好きで日本人を信頼した外国人労働者(追記アリ


ユニオンにクビを突っ込むようになって、それはまあヒデエ事例に遭遇してアゴがはずれそうになったりしておりますにゃ。あまりにもヒデエ事例についてちょい書いておきますかにゃー。


アジア某国出身のAさんは、ほぼ熊のごとき外見ですにゃ。身長190ほど、痩せた日本人♀の腰ほどもあるぶっとい腕でヒゲもじゃ。母国の高校をでた後ドイツの大学で経済学をおさめ*1、母国語・ドイツ語・英語・日本語はぺらぺらで、他にもスペイン語ポルトガル語朝鮮語も日常会話程度ならいけるようにゃんね。日本人♀とケコンし、永住権を持っておりますにゃー。


で、
まあいろいろとあって流れて日本に来たので、正規ルートでの日本の労働市場に入れず、某企業で荷揚げなどの肉体労働をしていたわけですにゃ。
で、何せすげえ身体してるんで、日本人の何人前にも働けるわけ。もともと五人ほどいた職場のAさん以外の人はどんどん雇止めなどでいなくなり(そもそもこれもスゲエんだが)、Aさんだけになったわけですにゃ。
で、
1日16時間労働で5人分の肉体労働な。
これができちゃう体力があんのよ。


1日16時間も働くと嫁が怒るので、「遊びに行ってくるヨ」といって家をでて会社にもどり働いていたとか。ちょい意味不明な感覚ではありますにゃ。揉め事になった後「なんでちゃんと言わなかった」と嫁に怒られたらしい。


上司はAさんにいったそうですにゃ。
「真面目にがんばれば正社員登用もあるぞ」


Aさんはこう考えていたそうですにゃ
「日本は世界ですごく成功した。アジアで一番だ。これは、日本人がウソをつかず、真面目に働いて助け合ってきたからに違いない。日本人は真面目にやる俺を見ているはずだ。日本人のいうことを信じてがんばろう」


荷揚げ作業中の労災でAさんは耳を打ち、頭痛で入院しますにゃ。もちろん本来は労災な。


入院療養中のAさんを会社側は呼び出す。
「忙しいから出てこい。でなきゃクビにするぞ」




Aさんはまたも1日16時間の労働を強要され、頭痛がひどくなり、結局は片耳が聞こえなくなってしまいましたにゃ。


Aさんが以前のように働けなくなると、会社側はAさんをクビにしてオシマイ、にしようとしたわけですにゃ。


ところが、Aさんの主治医が労災病院の先生もやっていて、このあたりの経緯を把握したうえでユニオンへの連絡をすすめてくれたわけ。しかも、労災申請について全面的にバックアップしてくれたわけにゃんな。


ユニオンのほうも火の玉のごとく怒り*2、結果的には労災認定と不当解雇の和解金をそれなりにとれたけどにゃ。まあ、Aさんも身体がもとにもどるわけでなし、今も仕事をさがしているようですけれどにゃ。


Aさんを特定できにゃーようにテキトーに書いたところもあるけど、基本的な経緯には誇張も何もナシ。僕の脚色では、こんなに労働法ガン無視どころか「てめえらの血は何色だー」なことは考えつかにゃーな。


Aさんは日本の労働法のことは何も知りませんでしたにゃ。ただただ日本が大好きで日本人がひどいことをするはずはないと信じていた。
そして
相手が労働法を知らず、しかもこちらを信じているとなると、企業はいかようにもヒデエことを平気でするわけだにゃ。1日16時間5人分の仕事をさせて怪我をして労災療養中の労働者を呼び出して働かせ不調を訴えるとクビ、なんてのはマジにめまいがしますにゃー。これがホントだからすげえ。


外国人労働者がらみのケースは他にもいくつかあるけど、Aさんの事例は典型にゃんね。
無知と人の良さにつけこんで、徹底的に絞りとってポイ。
Aさんは永住権を持っていたから、まだ強気にでられたけどにゃ。騙されて絞りつくされたあげく、ポイされて泣き寝入りの外国人労働者はいくらでもいるってのは間違いにゃーところだろ。


移民に賛成とか反対とか、いろいろ考えるのはいいけどさ、こういう事例がいくらでもあるということは、みにゃさまも頭にいれておいてほしいのですにゃ。



「外国人に日本の税金を使うな」とかいう日本人様のお声が大きいようですにゃ。日本人様に生まれたのは、きっとなんかの特権なんだろね。Aさんのような外国人労働者ももちろん日本に納税しているけど、彼らにカネを使うなというんだよね。
こういう主張をするヒトたちは、まさか「正社員特権」「公務員特権」なんかを批判したりしてはいにゃーよね?


誰かの「特権」を批判するのも勝手にやってもらえばいいんだけどにゃ。カネもコネも才能もない僕のようなニンゲンが、本当の意味で自分を守るためには、Aさんのような人が安心して働けるような社会を作ることしかにゃーと思うのよ。とりあえず助けあうしかにゃーよな。
僕がユニオンにクビ突っ込んでいるのは、自分のためだし、ガキのためだにゃ。



今、Aさんは
「日本人も他の国の人と同じ。いい人も悪い人もいる」
といってますにゃ。
こんな目にあって日本人を嫌いになってねえんだから、まったくもって人が良い。

追記 12:45ごろ

「いろいろとあって流れて日本に来たので、正規ルートでの日本の労働市場に入れず」という記述を、不法入国とエスパー読みしたお歴々が複数いたのでびっくり。「日本人側」に一方的に非があるということにたえられない繊細なお歴々なのでしょうにゃ。
書き方がよくなかったとは我ながら思うけど、日本人でも「新卒採用」という「正規ルート」に乗れなかった場合は労働市場でまともな評価がされにゃーことは多いだろ? 日本人と恋愛ケコンして日本に居着いた特にコネもにゃー外国人に日本の労働市場って開かれているかい?


そもそも、「永住権を持っている」と明記してあるのに、脳内妄想で不法入国になっちゃっている現実変換脳の高性能におどろき。自分に都合のワリイ事実は彼らにとっては存在すら許されにゃーのだろうね。


さて、

id:blacksorcery 差別
最初に日本人が大好きと書かないとあんまり共感得られないのが日本の問題だと思う。日本を全面的に嫌いだけど日本にいる外国人なんてほとんどいないのにね。

このコメントはソノトオリだと思いますにゃ。
Aさんは日本大好きとわざわざ僕が書いてある、というところが批判されるというのは予想していたし(いまのところ思ったより突っ込まれてないけど)、十分に理がある批判だと思いますにゃー。
ただね
Aさん本人が、日本人を尊敬してたし信用してた、今でも大好き、ということを屈託なく話すのが印象的だったんで、あえてこのあたりはきっちり書いてみましたにゃ。
そしたら
Aさんが日本を好き、というあたりにまで疑義を公然と開陳する連中があぶりだされた、というところではにゃーかと。


あとね
労働法上は国籍なんてカンケーにゃーからな。自由民主主義の政治体制では当然のことだと思うんだけどにゃー。
ま、
事実上は入管行政が外国人労働者の労働条件を規律しちゃって、劣悪な待遇を維持してるというお話になっちゃってるんだけど、それはまあここではおいておく。

*1:母国ではおぼっちゃん育ちだったようだ。確かに実に人が良い

*2:ユニオンなんて儲からないわけで、基本的には怒りに応じて動くというところがある。ヒデエ事例では真剣にやる。共感原理なんだよね。勘違いしている向きもあるかもしれないけど、ワガママ労働者に対してユニオンはそれなりに冷淡だよ。少なくとも僕がクビ突っ込んでいるところはそう

ハローワークはブラック企業の味方か?


僕の相棒が昨秋から勤めだしたのはいわゆるブラック企業でしたにゃ。
今春、試用期間が終わったあと一ヶ月した後に、一方的な労働条件切り下げを通告してきたのでそれを断ったら自主退社を強制され、ユニオンに加盟して団体交渉したりいろいろと遊んだ末に、退職&金銭和解という話になって一応解決いたしましたにゃ。
で、まあ思うところを書いておこうかと。
いろいろとオモチロイ話はあるんだけど、それはまた気が向いたら書くかもしれにゃーとして、今回のお話はハローワークブラック企業の関係について。


行政サービスや公益性の高いサービスに、ブラックな集団や企業がフリーライドするというのはありえることですよにゃ。
例えば、簡易裁判所の支払督促ってのは便利な制度にゃんが、これを利用してサラ金業者が支払督促を乱発したってのはまだマシで、架空請求に悪用されていたなんてヒデエ話もあるわけですにゃ。


ブラック企業というのもいろいろだろうけれど、

  • 1)最初に提示された労働条件とちがう
  • 2)ヒデエ条件で労働搾取しまくり
  • 3)労働者は耐えきれずに長くいられない(さからう奴はクビ)

つまり【労働者の使い捨てシステム】が確立しているあたりがだいたい共通しているところなのではにゃーかと。


で、これが成り立つのは、特に現段階での雇用不足を背景にして、ガンガン首にしても辞めさせても、次から次へと鴨がネギ背負った労働者が補充されるからなんですよにゃ。
で、
この【ブラック企業へのカモネギ労働者補充システム】として、ハローワークが機能しているわけだにゃ。

上記リンク先にはハローワークの求人票画像がありますにゃ。

で、この求人票を見ても、どんな会社だかわかんにゃーわけだ。
もちろん、住所や創業年、おおざっぱな事業内容や資本金、従業員数などはわかるし、いちおう約束している労働条件も書かれていますにゃ。
でも
実際はどんな会社だかわかんにゃー。
求人票の労働条件と違っていたなんて話はいくらでもあるけど、ハローワークにはそのあたりのチェック体制は期待できにゃー。今のハローワークは大忙しでとてもそこまで期待できにゃー。そもそも 労働基準監督署の職員だってまるで不足しているし、自民党民主党も、それからもちろんみんなの党あたりも、こぞって公務員を減らすとおっしゃっておいでだから、嘘つきブラック企業はますますやりたい放題だよにゃ。
現に、僕の相棒がいっていたブラック企業では、社会保険・厚生年金適用と求人票に書いていながら、試用期間中は適用しないとのたまわり(もちろん違法)、そのまま社保・厚年を適用せずに何年も雇用していたようですにゃ。
まあ、労災保険に入ってにゃーというアンビリーバボーな法人企業も現にあるからまだマシなのかもしれにゃーが。


面接にいっても、それだけでどんな企業だかしっかり見分けるなんてのは、フツーのヒトにはなかなかできることではにゃー。
まして、
生活が逼迫していてなんとか職を探さなくてはならにゃー状況では、多少のことには目をつぶらなければならにゃー状況ってのもあるしにゃ。


というわけで、ハローワークの求人票においしい条件を書いておけば、カモネギ労働者が次から次へとやってくるわけだにゃ。ハローワークに求人票を出すのにカネはかからにゃーし、一定の書式を満たしていれば受理する義務がハローワーク側にあるんだにゃ。
法人が雇用する場合は、社保・厚年の適用は法で義務付けられているはずなんだけど、実は社保・厚年に未適用の企業からの求人もハローワークは断れにゃーのだ。ウソをついても、検証のシステムなんて働かにゃー。
僕の相棒もハローワークに「求人票でいっていることと実際がこんなに違う」と具体的に説明したけど、ハローワークの職員によると「こちらでは企業の言うことを信じるしかなく、ウソだと指摘されても指導などはできないんです」とのことで「ウソ求人票」はいまだにそのまままかり通っていますにゃー。


さらにいえば
採用によって、特に労働市場における弱者を採用することによって出る補助金助成金のたぐいってのもけっこうあるのだにゃ。これを狙って採用と「退職追い込み」を繰り返すブラック企業ってのもあるんだよにゃ。僕の相棒も自主退社を強制されたわけだけど、これもまず助成金がらみだと思われますにゃー。


まったく企業はオイシイよにゃ。
行政サービスにフリーライドして、しかもウソつきまくってもオッケイ!
次から次へとカモネギ労働者がやってくるから、【下流喰い】の釣り堀状態!
税金つかってウソついて、さらに税金を懐にいれても何のお咎めもナシ!
公務員は減らすとみなさんおっしゃっているので、これからはもっとやり放題!

対策

さて、読んでて腹立っただろ>みにゃさま
しかーし
今回はいちおうそこそこ効果があると思われる具体的な対策があるのだにゃ。
以下の情報を求人票に入れることを義務付ければだいぶ違うのではにゃーだろうか?

  • 1)ここ3〜5年間の採用人数と退職人数
  • 2)従業員の平均勤続年数

※1と2は雇用形態や部署ごとの数字があればなお良い


ハローワークの求人においては、雇用保険の加入が事実上の条件となっているので*1、各事業所の採用人数と退職人数、平均勤続年数は特に苦労なく出せるはずだにゃ。


そんなに高い給料を出さなくても、人を大事にする職場では労働者は辞めにゃーよ。
最初に提示された労働条件にウソがあったりしたら、労働者は長く勤めにゃーよ。
職場への人の出入り状況と勤続年数だけで、そうとうにいろいろなことがわかりますにゃ。
労働者をちゃんと遇している企業は人が辞めず、求職者側にも人気がでてそれなりに人を選ぶことができるようになることが考えられますにゃ。そして、あまりにブラックで人が残らにゃー企業では、いままでほどカモネギ労働者がやってこなくなるんでにゃーかな?
「こんな良い条件を出しているのに、労働者がすぐ辞めている。やばすぎ!」


というわけで、ハローワークブラック企業の味方でにゃーというのなら、これはすぐにできる具体的な対策なのではにゃーだろうか? たぶん、法改正も必要にゃーだろ。通達だけでなんとかなるんでにゃーの?
企業側にしても、この程度の情報を出すのが嫌だってのは行政サービスを使う資格がにゃーし、そもそも労働者を大事にする企業にはメリットのある話ですからにゃ。


外部労働市場を少しでも成熟させるためには、企業側と労働者側の情報の非対称性を少しでもなんとかしよう、というお話の一環ですにゃー。


ああ、そうそう
ハローワークで求職するヒトタチは、気になった企業の労働者の出入状況について担当者に聞いてみることをおすすめしますにゃ。札付きの企業の場合、そのあたりの客観的な情報をちゃんと提供してくれる担当者もいるようなので。
あと
何かあったらユニオンに連絡なり、相談機関にちゃんと相談しようにゃ。
僕もユニオンとご縁ができて、いっしょに団交やったりしてるにゃ。団交タノチイよ♫

*1:最初の一回は雇用保険未加入事業所でも受け付けてくれるようだが