ハローワークはブラック企業の味方か?


僕の相棒が昨秋から勤めだしたのはいわゆるブラック企業でしたにゃ。
今春、試用期間が終わったあと一ヶ月した後に、一方的な労働条件切り下げを通告してきたのでそれを断ったら自主退社を強制され、ユニオンに加盟して団体交渉したりいろいろと遊んだ末に、退職&金銭和解という話になって一応解決いたしましたにゃ。
で、まあ思うところを書いておこうかと。
いろいろとオモチロイ話はあるんだけど、それはまた気が向いたら書くかもしれにゃーとして、今回のお話はハローワークブラック企業の関係について。


行政サービスや公益性の高いサービスに、ブラックな集団や企業がフリーライドするというのはありえることですよにゃ。
例えば、簡易裁判所の支払督促ってのは便利な制度にゃんが、これを利用してサラ金業者が支払督促を乱発したってのはまだマシで、架空請求に悪用されていたなんてヒデエ話もあるわけですにゃ。


ブラック企業というのもいろいろだろうけれど、

  • 1)最初に提示された労働条件とちがう
  • 2)ヒデエ条件で労働搾取しまくり
  • 3)労働者は耐えきれずに長くいられない(さからう奴はクビ)

つまり【労働者の使い捨てシステム】が確立しているあたりがだいたい共通しているところなのではにゃーかと。


で、これが成り立つのは、特に現段階での雇用不足を背景にして、ガンガン首にしても辞めさせても、次から次へと鴨がネギ背負った労働者が補充されるからなんですよにゃ。
で、
この【ブラック企業へのカモネギ労働者補充システム】として、ハローワークが機能しているわけだにゃ。

上記リンク先にはハローワークの求人票画像がありますにゃ。

で、この求人票を見ても、どんな会社だかわかんにゃーわけだ。
もちろん、住所や創業年、おおざっぱな事業内容や資本金、従業員数などはわかるし、いちおう約束している労働条件も書かれていますにゃ。
でも
実際はどんな会社だかわかんにゃー。
求人票の労働条件と違っていたなんて話はいくらでもあるけど、ハローワークにはそのあたりのチェック体制は期待できにゃー。今のハローワークは大忙しでとてもそこまで期待できにゃー。そもそも 労働基準監督署の職員だってまるで不足しているし、自民党民主党も、それからもちろんみんなの党あたりも、こぞって公務員を減らすとおっしゃっておいでだから、嘘つきブラック企業はますますやりたい放題だよにゃ。
現に、僕の相棒がいっていたブラック企業では、社会保険・厚生年金適用と求人票に書いていながら、試用期間中は適用しないとのたまわり(もちろん違法)、そのまま社保・厚年を適用せずに何年も雇用していたようですにゃ。
まあ、労災保険に入ってにゃーというアンビリーバボーな法人企業も現にあるからまだマシなのかもしれにゃーが。


面接にいっても、それだけでどんな企業だかしっかり見分けるなんてのは、フツーのヒトにはなかなかできることではにゃー。
まして、
生活が逼迫していてなんとか職を探さなくてはならにゃー状況では、多少のことには目をつぶらなければならにゃー状況ってのもあるしにゃ。


というわけで、ハローワークの求人票においしい条件を書いておけば、カモネギ労働者が次から次へとやってくるわけだにゃ。ハローワークに求人票を出すのにカネはかからにゃーし、一定の書式を満たしていれば受理する義務がハローワーク側にあるんだにゃ。
法人が雇用する場合は、社保・厚年の適用は法で義務付けられているはずなんだけど、実は社保・厚年に未適用の企業からの求人もハローワークは断れにゃーのだ。ウソをついても、検証のシステムなんて働かにゃー。
僕の相棒もハローワークに「求人票でいっていることと実際がこんなに違う」と具体的に説明したけど、ハローワークの職員によると「こちらでは企業の言うことを信じるしかなく、ウソだと指摘されても指導などはできないんです」とのことで「ウソ求人票」はいまだにそのまままかり通っていますにゃー。


さらにいえば
採用によって、特に労働市場における弱者を採用することによって出る補助金助成金のたぐいってのもけっこうあるのだにゃ。これを狙って採用と「退職追い込み」を繰り返すブラック企業ってのもあるんだよにゃ。僕の相棒も自主退社を強制されたわけだけど、これもまず助成金がらみだと思われますにゃー。


まったく企業はオイシイよにゃ。
行政サービスにフリーライドして、しかもウソつきまくってもオッケイ!
次から次へとカモネギ労働者がやってくるから、【下流喰い】の釣り堀状態!
税金つかってウソついて、さらに税金を懐にいれても何のお咎めもナシ!
公務員は減らすとみなさんおっしゃっているので、これからはもっとやり放題!

対策

さて、読んでて腹立っただろ>みにゃさま
しかーし
今回はいちおうそこそこ効果があると思われる具体的な対策があるのだにゃ。
以下の情報を求人票に入れることを義務付ければだいぶ違うのではにゃーだろうか?

  • 1)ここ3〜5年間の採用人数と退職人数
  • 2)従業員の平均勤続年数

※1と2は雇用形態や部署ごとの数字があればなお良い


ハローワークの求人においては、雇用保険の加入が事実上の条件となっているので*1、各事業所の採用人数と退職人数、平均勤続年数は特に苦労なく出せるはずだにゃ。


そんなに高い給料を出さなくても、人を大事にする職場では労働者は辞めにゃーよ。
最初に提示された労働条件にウソがあったりしたら、労働者は長く勤めにゃーよ。
職場への人の出入り状況と勤続年数だけで、そうとうにいろいろなことがわかりますにゃ。
労働者をちゃんと遇している企業は人が辞めず、求職者側にも人気がでてそれなりに人を選ぶことができるようになることが考えられますにゃ。そして、あまりにブラックで人が残らにゃー企業では、いままでほどカモネギ労働者がやってこなくなるんでにゃーかな?
「こんな良い条件を出しているのに、労働者がすぐ辞めている。やばすぎ!」


というわけで、ハローワークブラック企業の味方でにゃーというのなら、これはすぐにできる具体的な対策なのではにゃーだろうか? たぶん、法改正も必要にゃーだろ。通達だけでなんとかなるんでにゃーの?
企業側にしても、この程度の情報を出すのが嫌だってのは行政サービスを使う資格がにゃーし、そもそも労働者を大事にする企業にはメリットのある話ですからにゃ。


外部労働市場を少しでも成熟させるためには、企業側と労働者側の情報の非対称性を少しでもなんとかしよう、というお話の一環ですにゃー。


ああ、そうそう
ハローワークで求職するヒトタチは、気になった企業の労働者の出入状況について担当者に聞いてみることをおすすめしますにゃ。札付きの企業の場合、そのあたりの客観的な情報をちゃんと提供してくれる担当者もいるようなので。
あと
何かあったらユニオンに連絡なり、相談機関にちゃんと相談しようにゃ。
僕もユニオンとご縁ができて、いっしょに団交やったりしてるにゃ。団交タノチイよ♫

*1:最初の一回は雇用保険未加入事業所でも受け付けてくれるようだが