「男は獣」という仮定法


皆様、こんにちわ。地下猫です。
今日は英文法の【仮定法】のお勉強をいたしましょう。

  • 例文1) If I were a bird, I could fly. 
  • 訳例1)「私が鳥ならば、飛べるのに」

仮定法とは、【事実と反すること】を述べるためのものです。内容の非現実性をあらわすために時制を操作する一種のレトリックであり、必ずしもIFの文ではありません。
ここでは、【事実と反する前提】から【事実と異なる結論】が導かれていますね。ここで実際に言われている内容を仮定法を使わずに、つまり事実に即して書くと

  • 例文2)Because I am not a bird, I cannot fly. 
  • 訳例2)「私は鳥でないので、飛べない」

となります。
よいこのために注意しておきますと、例文1では、「私は鳥だ」といっているわけでもないし、「私は飛べる」といっているわけでもありません。繰り返しますが、これは事実に反することを述べているだけなのです。例文1においては、「私は鳥だ」も「私は飛べる」も、明確に否定されていることを肝に銘じておいてください。


それでは、次の例文を見てみましょう。

  • 例文3) If men were beasts, they should be in cages. 
  • 訳例3)「男性が獣ならば、檻に入れておけ」

これも、【事実と反すること】が述べられた仮定法の文ですね。事実とは「男性は獣ではない」ので「男性を檻にいれなくてもよい」ということです。もっというと、「男性は獣だ」も「男性を檻にいれるべき」も明確に否定している文だということになります。


日本語においては仮定法にあたる動詞の用法がないため、「AならばB」という記述が【事実と反すること】なのかどうか判断できないことがあります。しかし、ここにあげた例文のように、「私が鳥なら」「男性が獣なら」などということはありえないことなので、常識的に考えればこれが【事実と反すること】を述べた文だということはわかるはずです。
ただし
「私が鳥だ」「男は獣だ」という前提が「ありえる」「事実だ」と考えている方にとっては、この文は【事実と反すること】とはなりえず、「男性が獣ならば、檻に入れておけ」のように日本語で表記してしまった場合には混乱を招くかもしれません。
しかし「男は獣」を否定している文脈においては、全体が【事実とは反すること】となり、「男を檻にいれるべき」も当然ながら否定されます。無論、id:Francesco3は「男は獣」を強く否定しており、したがって「男を檻にいれるべき」も否定していることになりますね。


さて、では最後に仮定法とは関係のない例文をあげて、本日のところはおしまいとしましょう。いわゆるクジラの構文です。

  • 例文4)A whale is no more a fish than a man is a beast. 
  • 訳例4)「男性が獣でないように、クジラも魚ではない」

ほそく

などのブクマコメで僕が「ふらんちぇす子は、AならばB、といっているだけ」と発言していることをネタ混じりに解題した。今回の多くの勘違いについては、「男は獣」が事実なのか規範なのか、事実だとすればどういう事実であり、規範だとすればどういう規範なのか、のぐちゃぐちゃ具合がたいへんにオモチロイ。
まさに自然の鉄則byナチスだね。