数学野郎どもアリガトウ


前回エントリにトラバありがとう>数学野郎ども
求めたい値をPとすると
N=3でP=10となる美しい作図は

N=4でP=15となるこれまた美しい作図は

ゴリ押しで解を探すプログラムは

おそらく数学プロパーの方と思われる学術的な見通しについては

で、それぞれいただきました。みにゃさまアリガトウ。

はるかなる一般解

さて、この問題にどうやら一般解はにゃーようだ。求めたい値をPとすると、理論上

  • P<N^2+1

であって上限は最初からわかっているわけですにゃ。
では一般解として、下限はどうなっているのでしょうかにゃ?


まず、N=2の場合。5角形をつくれば条件を満たすことが一目瞭然ですにゃ。


で、N=3の場合にも、多角形を使ってできにゃーかということで、考えたのが下のものですにゃー。8角形にして、任意の頂点から4つ目の頂点同士(この場合は1番遠い頂点同士)を結びつければ、できあがり。
これ、ケッコーきれいでしょ? で、これがN=3のときのPの最大値だと思いこんでしまったわけですにゃ。なんせきれいだから。


で、さらにN=4の場合も多角形が使えるわけにゃんな。11角形にして、任意の頂点から4つ目の頂点同士を結びつけたのが下図。


さて、ここまでくれば、Nが1ふえるごとに多角形の頂点が3増えるということになりますにゃ。N=2でP=5、N=3でP=8、N=4でP=11、・・・・・
これを一般化すれば、3N-1、となりますにゃ。

  • 3N-1≦P≦N^2+1

と、自力でここまではたどり着いたのですにゃー
ここでNに150を代入すると、449≦P≦22501
これでは全然しぼれているとは言いがたいのだけれど、Pは下限のほうに近いかと思ってしまったわけだにゃ。1つは、N=3でP=8だとこの時点では思いこんでしまっていたこと。もう1つは、500〜1000におさまってくれればウレチイなという希望ね。さらにいえば、作図がキレイだったんでこれでいいような気がしてしまったわけですにゃ。
うむ、アサハカ君。

数学野郎による下限の絞り込み

前回すでに書いてあるけれど、この問題が当初僕にはさっぱりわからず、知り合いの数学野郎に尋ねたのだけど、彼の手にも余ったようで、mixiの某コミュでお題になっていましたにゃ。「数学コミュ>大学数学(その他) 分からない問題はここに書いてね No.3」というトピですにゃー*1。ここの112以降ですにゃ。
で、125の書き込みを文系向けに翻訳しつつ図をいれて説明しますにゃ。数学屋さんには我慢のならにゃー記述かもしれんけど許してね。


まず、ここではNを偶数と考える*2
で、行方向と列方向に、それぞれ1+N/2個の点を並べた格子を作りますにゃ。
赤色の点がN=2の場合ですにゃ。行方向と列方向それぞれ2個の点があり、各点から出ている線の数は2本ですにゃ。
次に、
(赤+青)色の点がN=4の場合ですにゃ。行方向と列方向それぞれ3個の点がありますにゃ。ここで各々の点と同じ行に属する点同士・同じ列に属する点同士を直接結びつけること。すると、各点から出ている線の数は4本となりますよにゃ。
ポイントは、各々の点と同じ行に属する点同士・同じ列に属する点同士を直接結びつけられているので、任意の2点は必ず「2hop」でつながるということですにゃ。
さらに
(赤+青+緑)色の点がN=6の場合にゃんね。見てのとおり、各々の点と同じ行に属する点同士・同じ列に属する点同士を直接結びつけられているので、やはり任意の2点は「2hop」でつながりますにゃ。そして、各点から出ている線の数は6本となりますにゃー。
というわけで、
これを一般化すると、1辺(1+N/2)個の点を格子にならべた場合は条件を満たすので、この場合の点の数は、(1+N/2)^2


ところで
この格子図では、N=2で4個しか点がありませんにゃ。さらにN=3で9個の点となるわけですにゃ。しかし、すでにN=2でP=5、N=3でP=10という解は得られているわけだから、

  • (1+N/2)^2<P≦N^2+1

これでさっきよりはだいぶ絞り込めましたにゃー。

この式でNに150を代入すると、5776<P≦22501。かるーく5000をこえやがったぜ、にゃっはっはっはっはー。


これはどうやら、さきほどリンクしたグラフ理論的言い換え - 186 @ hatenablogで紹介されていたRook's Graphというやつのようですにゃ。これさ、立方体格子をつくれば、「3hop」の場合も絞り込めそうですよにゃ。

というわけで、反省だッッ!

ダンバー数という仮説が正しく、自分の属する集団の各個体の社会的な関係性を認知する限界が平均150あたりにあるとしますにゃ。また、これもダンバーのいうとおり、「様々な人間の集団サイズは(5, 12, 35, 150, 500, 2000)というクラスタに収斂するという知見も存在する」というのも正しいとする。


しかし、ここでいう150というのはあくまで認知的な【限界】であって各成員がみんなこの150というのを使い切っているわけにゃーよな。ダンバーのいうとおり、大脳新皮質が社会的な関係性を認知するために発達したものだとして、この大脳新皮質という資源をニンゲンはいろいろな使い方をしまくっているわけだにゃ。
ただし
集団内にこの認知的上限をフルに使う人物がいた場合、150人程度の集団は相当に有機的な一体性を持ちえるということもありえる話でしょうにゃー。


ま、それにしたって、これではパラメーターが絞られすぎているわけで、「ほかにいくらでも変数はあるんじゃね?」というダンバー数がだめなわけ - progressive linkの指摘ももっともなものですにゃー。


ひとりごと

表現の自由」に限らず、自由というものにはそれなりにコストがかかるものですにゃ。このコストを弱者に押しつけることなく、しかも法規制などをできるだけ避けるためにはどうしたらいいのか、をずーっと考えているんだけど一筋縄でいく問題ではにゃーよなー。
コストを誰がどう負担するか、と考えれば、ウルトラCなどあろうはずもにゃーわけだけれど、それでも少しでもマシなコストの振り分け方を考えたいものですにゃ。
ただ、
コストを抑えるためには、公正さに関する社会的認知モジュールという資源を使いたいんだけど、これはムツカチイんだろうか? 闘技アリーナガチバトル公共圏ってのもきつそうだし、だいたいコミュニケーション的合理性が成立するための集団の規模ってやつもありそうだしにゃー。むー。
イースト氏の言っていたらしい2万人の直接民主政ってのは、どのあたりを根拠にした数字なんだろか? むむー。
結局のところ、神々の戦いになってくのかにゃー? むむむー。


しかし、「真正性の水準」にしても、「ダンバー数」にしても、コストを抑制しつつ公正さを実現するためには捨てたくにゃーんだよねー。閾値はかならずあるわけだし。
そもそも
進化心理学って決定論でなくてコストとベネフィットを考えるためのもんだしさ。

*1:mixiはタテマエ上クローズドな場所なのでリンクは避けておく

*2:Nが奇数の場合は、横か縦に長い長方形になるだけのこと。縦+横が一定なら、正方形が1番面積(点の数)が大きくなるので