差別が人権侵害でない?


人権というコトバは、法の枠内におさめることのできるコトバではにゃー。無論、法と無関係に語ることは無理スジだろうけれど、法学が独占して取り扱う対象ではにゃーわけだ。ブンガクからもテツガクからも文化論からも、自由主義思想からもゲーム理論からも人権を語りえるものですにゃ。
僕は今回、だいたい自由主義思想の観点から人権について考えていますにゃ。例によって愚行権ベースにゃんね。法の話をしているわけではない、というのはそういうこと。
これに対し、「法学的にはこうですよ」という意見は歓迎するのだけれど、法学的におかしいからダメという話はナンセンスにゃんなあ。しかも、こちらが根拠をあげているのに対し、無根拠にDISられてもお笑いですにゃ。


いただいたレスやトラバにはなるべくお応えしていきたいとは思うのだけれど、時間がとれないので今日はとりあえず1点。今回は法の範囲内のお話ということで。

「レス」にレス

世界のほとんどの国で締結している条約をフツーによめば「差別=人権侵害」なんだにゃ。ここは動かしようがにゃーんだな。


動かすも何も、なんにも述べられてないにゃーw

貴方が世界人権宣言から引用している部分のどこにそんなことが書いてあるのかまったく理解できないんですが。だいたい同じようなことが日本国憲法にも書いてあるけど、その上で、ポルノ表現の自由は認められてるんですけどね。

「この規約に規定する権利」の中に、気に入らない表現を排除する権利でも含まれてますか?


http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20090529/p3


僕が引用した箇所を再掲すると


世界人権宣言 第二条 1

すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類する【いかなる事由による差別をも受けることなく】、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。


国際人権規約(A規約) 第二条 2

この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位による【いかなる差別もなしに】行使されることを保障することを約束する。

※B規約にもほぼ同じ条文がある


いずれも外務省のサイトより 強調は引用者

フツーに読むということ

NaokiTakahashiは差別が人権侵害であることが引用からは読み取れなかったようですにゃ。仕方がにゃーので、フツーの読み方を解説してみましょうにゃー。
リンクしとくね。世界人権宣言(仮訳文)

  • 1)世界人権宣言や国際人権規約は人権に関する宣言である。人権に関連しないことは述べられていない
  • 2)よって、差別は人権と関連する。しかも、第二条にあるということは重大な関連と読むべきである
  • 3)差別は否定的に述べられている。

と、基本的にはここまででわかるはず。以下にもっと詳しくやると

  • 4)「差別」というコトバが使われている条文を確認すると、2、7、23条である。2条2項には「〜差別してはならない」とあり、7条からは差別が法の下の平等へ敵対するものと読め、23条では同一労働同一賃金と差別が敵対的であると読める。
  • 5)宣言中で否定的に扱われているのは、第4条の奴隷制度および奴隷売買、第5条の拷問又は残虐な刑罰や取り扱い、第9条の恣意的な逮捕・監禁・追放、などなど。

もちろん、奴隷制も拷問も恣意的逮捕・監禁も絵に描いたような人権侵害だよにゃ。この宣言で否定的に扱われるものは人権を侵害するものだにゃ。よって差別は人権侵害。
というのがフツーの読み方だと思うんだけどにゃー。

というわけで質問

人権宣言で否定的に書かれているところを引用してみせたのに、それが意味するところを理解しようとしにゃーというのは、本物の馬鹿か意図的に詭弁を弄しているかのどちらかではにゃーかと思ったんだけど、ところがこのエントリに賛同がけっこう付いているのだにゃ。しかも、法律に詳しそうなヒトとか(自称含む)まで「こちらが法の話としては正しい」みたいなことをいっているので大仰天だー。


そこで質問です

  • 法の文脈における、差別と人権の関係を教えてください

僕に勉強不足とかいっているヒトタチは、きっときれいに答えてくれるだろうにゃ。
ああ、もちろん僕の見解は「差別は人権侵害」ですにゃ。世界人権宣言などの法的文章にそう書いてあるとしか僕には読めにゃーんで。
それと、法的文章に人権と関連して書かれている「差別」というコトバが、NaokiTakahashiの主張では何の検証もなしに「道徳」の話になっているんだけど、法的にはこれでおっけーなの? 彼は法の話をしているのではなく、法と道徳を恣意的に使い分けているのではにゃーのかな? 脆弱な詭弁に見えるんだけど。


いっておくけど、差別は人権侵害である、という認識に関しては、他の資料もあたっているにゃ。人種差別撤廃条約の前文や第1条とか、「差別は人権侵害」と明言している弁護士(日本労働弁護団幹事長)の意見書、http://homepage1.nifty.com/rouben/teigen05/gen050117a.htmとか、まあほかにもいろいろ。

ついでといっては何だけど

id:seijigakuto
資料、いろいろとさんきゅーですにゃ。
ところで
国際人権条約/女子差別撤廃条約 - e-politics - アットウィキ
なのだけれど、
国連女性差別撤廃委員会が、例えば日本における特定の慣行を「女性への権利侵害」と認定した場合でも、それは日本政府にとっては法規制が義務づけられているわけではにゃーよね。
つまりこれは、法的な文脈においてすら、「法規制されない人権侵害」がありえるということになるんでにゃーの?