黎明期の相対主義批判

議論するメタミドホス

ディオゲネス・ラエルティオスのギリシア哲学者列伝で、古代ギリシアにおける相対主義批判の哲学者が紹介されている。その名もメタミドホス。紀元前3世紀、テーベの人である。


紀元前5〜4世紀の古代ギリシアにおいてはソフィストたちが開明的な人間中心主義、懐疑主義などの近代にも通じる開明的な議論を展開していた*1
プロタゴラスの「人間尺度命題」は人間中心主義を、ゴルギアスの「非存在の論」は懐疑主義、トラシュマコスの「正義とは強者の利益なり」という説はマルクス主義哲学にも通じ、アンティフォン、ヒッピアスらの法(ノモス)と自然(ピュシス)の分離論は自然的専制に対する権力分立の論理である。彼らはその他、作文修辞の法、法律道徳論、文明論などの実質的思想をも講義しており、きわめてプラグマティックな一面ももちあわせていた。
こうした先進的な思想の展開に対して、「無恥の恥」という神権的相対主義を弄して反動的に敵対したのがソクラテスである。ソクラテスは、どのような主張も徹底してその起源を問い続ければ無力化できるという最強の矛と、自分自身の論の根拠は神託という名のデムパに置くという最強の盾を恥知らずにも装備し、開明的な議論を次々と屠っていったのである。


これに対し、メタミドホス
「神託だあ? はあ? 俺には聞こえねーなあ。あんた聞こえるの? ヒポクラテスのとこ逝ったら?」
と実証的な経験論を基盤にしてソクラテス相対主義を批判した。しかし、神権にその権力基盤をおくアカデメイア派に毒入りギョーザで暗殺されたとされる。
メタミドホスの「神託だあ? 俺には聞こえねーなあ」は、ヘレニズム世界でモノクロトホス、ホスファミドンなどの思想家を通してビザンチン文化において保存され、パラチオンがカトリック世界に紹介した。カトリック世界においてメタミドホスの議論が「語らない神」と曲解され、否定神学の源流の一つとなったとされている。


参考文献、ウヅキ一世著「西洋哲学史民明書房

*1:後のルネッサンスとはソフィスト回帰であると理解すべき