処女に100万ドル出してみんかい? という女性学的煽り


この記事が興味深いにゃ。
http://www.excite.co.jp/News/odd/E1221118384196.html
しばらくするとリンクが切れてしまうだろうから全文引用しておきますにゃ。


 [ロサンゼルス 10日 ロイター] 米カリフォルニア州サンディエゴ在住の22歳の女性が学費にする目的でインターネット上で自身の処女を競売にかけたことを受け、インターネットでは性と道徳について激しい論争が起きている。


 女子学生は安全上の理由として、ナタリー・ディランという仮名を使っている。女子大生は、自分が決めたことに道徳的なジレンマはなく「自分に力を与えることだ」としている。


 しかし、彼女を支持するブロガーはほとんどいない上、その意図を怪しむ見方もある。


 女子学生はテレビ番組「ザ・インサイダー」に対し「処女を競売にかければすべての問題が解決するとは思っていないが、ある程度の財政的な安定が得られる。物議をかもすのは分かっていた」と話した。また「われわれは資本主義社会にいる。私の処女から利益を得てもいいはずだ」と付け加えた。


 この学生は女性学の学士号を持っており、大学院に進む予定で、100万ドル(約1億7000万円)の入札を期待しているという。


この記事がミクシでも話題になっているようなのでのぞきにいってみたら、案の定否定的な見解にあふれていましたにゃ。
しかし
家父長制資本主義を皮肉りまくった戦略的パフォーマンスになっていると僕は思うにゃ。
このナタリーちゃんが意図的・戦略的に考えてやっていることなのか、脳内お花畑のヒトなのかはなんともいえにゃーとこだ。優秀かつお花畑ということもよくあるので油断ならにゃーしな。


以前、切っても切れぬ生殖と愚行の関係(追記あり) - 地下生活者の手遊びでも引用した「ノーベル賞受賞者精子バンク---天才の遺伝子は天才を生んだか---」(原題 The Genius Factory)から再引用しますにゃ。


中年の夫婦----若者夫婦よりも、より優生学的判断をする傾向が強い----はアイビーリーグの一流校のキャンパスをこれまでにも増して分厚い札束を持って徘徊し、大学の学生紙に広告を出してあれこれ希望条件を並べ立てている。スマートで若い女学生なら、健康な卵子を売って、一万ドル、二万ドル、はては五万ドルもの大金を手にできるようになっているのだ。母親側の遺伝子が生まれてくる子供の知性に関係するという認識が広まれば、この卵子バブルはもっとひどくなるかもしれない。

P329


これは処女ではなく卵子の売買にかかわる記述ですにゃ。メリケンでは精子卵子などの、「遺伝子」の売買が平気で行なわれているというあたりをまず確認だにゃ。
個にゃん的には売買春には特に問題があるとは思わにゃーが、「遺伝子」売買には問題があると考えますにゃ。このあたりについては暇になったら別エントリをたてて論じてみたいにゃ。


まあとにかく売れるものはなんでも売ってしまうのが資本主義だよにゃ。
優秀かつ容姿端麗な学生の遺伝子を証券化したり先物取引にして売買するってのまであの国ではやりかねにゃーもの。良くも悪くも実験国家にゃんからねえ。


ナチ的な意味での自然主義というか、生物学的還元主義がはばをきかせている社会においては「優秀な遺伝子」が価値をもつので、それが売買されるのも資本主義的実験国家においてはアタリマエなのかもしれにゃー。
そして
キリスト教的家父長制においては「処女」が価値をもつというのもまた事実。
というか、♂による♀の性支配というのは、♀を【聖女】と【娼婦】に分割統治することだと乱暴にいっておくにゃ。


まあ、にゃんだかんだいって処女とかシロウトとかが好きな♂は多いよにゃ。非モテとかいっている連中だって、「シロウト好き」のバリエーションのひとつなんでにゃーのか? 「愛」ってのは【聖女】の基本属性だからにゃ。


というわけで、このナタリーちゃんの処女オークションは「女性学的煽り」として実によいところを突いているのではにゃーかと感心しまくっているのですにゃ。

  • 価値あるものなら何でも売っていいんだろ?
  • 処女は価値があるんだろ?
  • 処女性を尊ぶ男性中心主義・資本主義者の豚ども、処女性に100万ドルだしてみんかい?


どこまで戦略的で、どこまで天然なのかよくわかんにゃーが、とにかく結果的にはこういうよくできた煽りになっていると思われますにゃ。


最後に、引用した記事の「彼女を支持するブロガーはほとんどいない」ってのは印象操作なんでにゃーの? あの何でもアリの能天気国家で、この手の煽りに支持がにゃーってのは考えにくい。
少なくとも僕は支持しておく。オモチロイから。