男はフェミである必要などまったくない(追記アリ


Q.だれが飢えに苦しんでいるのですか?


A.飢餓というと、1984年から85年にかけて起こったエチオピア飢饉の被災者、バングラディシュで起きた洪水によって家を失った人々やコンゴ共和国での紛争から逃れてきた避難民たちを思い浮かべるかもしれません。確かに、近年起こった災害による被災者が約3,000万人から4,000万人いますが、飢餓人口全体のうちのわずか8%です。

ほとんどの人が、世界中には、ニュースのヘッドラインにならない8億人以上の人たちが飢餓で苦しんでいることを知りません。これは、アメリカとヨーロッパ連合の総人口よりも多いものです。飢えに苦しむ人たちは年齢も状況もさまざまです。例えば、母親から十分なミルクを与えられない赤ちゃん、世話をしてくれる身寄りのない老人、都市のスラム街に住む失業者、小作人エイズにかかった孤児や特別な治療や食糧支援を必要とする病人たちなどです。

その中でも特に、子どもや女性、また農村地域で暮らす人達が飢餓の最前線にいます。


Homepage | World Food Programme より


WFP(国連食糧計画)とは、「国連唯一の食糧支援機関であり、かつ世界最大の人道支援機関」ですにゃ。今回はテーマを絞るからあまりいろいろと触れることはできにゃーのですが、リンク先のFAQについてはみにゃさまも是非ともご一読のほどを。
特に、「今日世界にはすべての人々が健康で生産的な生活を送るために必要な栄養分を摂取するのに十分な食糧がある」、にもかかわらず「1990年代後半には、飢餓人口が毎年ほぼ400万人ずつ増加」した*1ことなどは僕たちには知っている義務があるだろにゃ。

なぜガキと♀が飢えるのか?

飢餓において、まっさきに飢えていくのはガキと♀だってのは、ほぼ世界中で普遍的に見られることみたいにゃんね。
今日のお題はこれですにゃ。


援助食料の配給において、以下の点が重要になっているようですにゃ。

  • 食糧援助物資の配給に女性が参加すること
  • 配給がいつ、どこで実施されるかと同様に、与えられる権利のある食糧援助について女性たちに情報が届くこと
  • 女性たちの名義で食糧受給の権利を受け、配給の受給者も彼女らが決めること


女性の手に委ねる食料WFPのパンフレット・PDF書類) より


直接に♀に食料物資を渡すことがとにかく肝要なようですにゃ。逆にいえば、♂に食料物資を渡してはならにゃーということになるよにゃ。
おお、どこからともなく「男性差別だ」という声が聞こえてきますにゃー。
でもね
これはアタリマエの措置なんですにゃ。ものの道理をわきまえた君ならもうわかっているよね?

  • 男性に食料を渡しても、女性や子どもに行き渡らないから

つまりね、♂は家族の分まで食料を渡されても、自分で食べちゃうのだにゃ。


もちろん、すべての♂が食い物を独り占めするというわけでもにゃーし、♀にも食い物を独り占めするような輩がいるだろうってこともガチだろにゃ。それでも、♂に食料を渡しても、♀やガキに食い物が行き渡らないという傾向が強いことは、支援の現場で実証されまくっていることらしい。
つまり

  • 子どもや女性の分まで男性が食べてしまうから、子どもや女性が飢える

という極めてシンプルな現実があるわけですにゃ。
それどころか、比較的食料が十分にある地域でも、家族用の食料を♂が換金してタバコや酒に換えてしまい、ガキや♀が飢えるということすらありがちだとか*2

なぜ男性に特権があるのか?

飢餓地域でことごとく♂による食料の独り占めが起きているとすると、その理由として考えられるのは主に2つ。

  • A)生物学的に♂はそういう生き物
  • B)文化的差異をこえた普遍的な男性ジェンダー

AとBは相互に矛盾するわけではにゃ*3


Aなんだけど、進化心理学的に♂が利己的であることを説明する理屈は考えられなくもにゃーけど、竹内久美子チックになってしまいそうだから控えておきますにゃ。ただ、♂のほうが生まれつき利己的で意地汚い傾向がある、というのは十分にありえる話と考えますにゃ。
というのも、母権制の社会は実際には観察されていにゃーわけで、ニンゲン社会というのはほぼすべて父権制の社会であるといえますにゃ。ニンゲン社会に普遍的に見られる現象に対して、生物学的基盤があると考えることは的外れな推理ではにゃーように思う。まあ、実証はすっごいムツカチイから眉に唾付けて聞いてほしいところですけれどにゃ。


で、Bは先ほど触れた「普遍的に見られる父権制」から直接に導かれますにゃ。
父権制というのは、ぶっちゃけ、父(特定♂)に特権が付与されるということですよにゃ。で、権利の付与には必然的に義務が生ずるわけで、♂がガキや♀より偉いということは、♂にはガキや♀を守る義務があるということになるはずですにゃ*4
「ガキや♀を守るために、♂に特権が付与されているのだ」、というふうに後付けで特権が正当化されているのではにゃーだろうか。


まあ実際には生物学的基盤と文化的なものが複雑にからまって【男性性・父性特権】というものが形成されているのでしょうにゃ。

父権・男性性の正体

そして、飢餓地域というのはだいたいほぼすべて低開発国、つまり【男性性・父性特権】がまだまだ生きている地域であると考えていいでしょうにゃ。
このことの意味はでかい。


日本でもよく見られる議論で、「今の社会では父権・男性性などがおとしめられているのがよくない」というものがありますにゃ。
しかし
【男性性・父性特権】がまだまだ生きている地域で、飢餓という非常事態がおきたとき、【男性性・父性特権】が現実にどのように働いたのか?

  • ほぼことごとく、特権を利用して食料を独り占めし、ガキや♀を飢えさせた

これこそが、父権、男性性、男らしさ、といったものの正体なのだにゃ。


♂はフェミである必要などどこにもありはしにゃー。
ただ、父権・男性性・男らしさ などといわれるものの正体から目を背けなければいい。
そうすれば、まともなフェミとちゃんと議論になるはずだにゃ。

追記でブクマコメに応答 23:25ごろ

ネガブコメつけては返り討ちにあうのが趣味と化しているとしか思えにゃーid:metalbabbleid:Midasあたりから、またもやご馳走ネガブコメを頂戴いたしましたにゃ。しかし、今僕は仕事から帰って晩酌をしているところであり、酒が入ってのDISは個にゃん的禁止事項なので、センセイがたの栄養価の高いブクマコメの料理は明日以降にでも。
では
アルコールが回る前に、いくつか応答させていただきますにゃ。

id:otimusha2005
えーと、本論は「父権・男性性の正体」と読めるんですが、そこからなぜ「男がフェミである必要はない」に繋がるのかが、いまいちよく分りませんでした。

「男性性の虚構に向きあえ」という主張は、広い意味でのフェミといえにゃーこともにゃーです。だから、実は僕の主張はフェミに沿ったモノだということは可能。
ただ、♂である僕が♂である自分たちのことを考える、というときにフェミだと名乗りたくはにゃーのですね。このあたりは飛躍があってちょいわかりにくかったでしょうにゃー。

id:elastica
いきなりA(極論)orB(ジェンダー)なの?飢餓という極限状態のせいで、肉体的弱者に対しての強者によるスポイルが発生しやすいと言う考えは無いのかな。猫さんは、お腹すいたこと無いの?


id:nanahusi
単純に男のほうが腕力があるから、食料を奪い取れてるんだろ。男性性とか父性特権とか、一切関係ない

まず、本文においてもAとBは矛盾しにゃーし、実際にはAとBが複雑にからまって男性性が形成されていると書いてありますにゃ。
つぎに
肉体的強者による肉体的弱者へのスポイルが発生する、のであれば、母親によるガキへの搾取が広く見られることになるはずですにゃ。ところが、♀に食料をわたしても、♂もガキも飢えにくいとされているのですにゃ。
つまり、
「肉体的弱者に対しての強者によるスポイルが発生しやすい」のは♂に食料を渡したときだと言っていいわけ。したがって男性性というものを考慮せざるをえにゃー。

id:takashi1982 おもしろい, 考えるネタ
「♂に食料を渡しても、♀やガキに食い物が行き渡らないという傾向が強いことは、支援の現場で実証されまくっていることらしい」詳しい本ないかなぁ…。こういうのって文化人類学の範疇になります?


id:Lhankor_Mhy
男女 女性に分配したらうまくいく、というソース希望。/ しかし、抑圧を認識するモノをフェミというのではなかろうか。


取り合えずのソース
http://www.wfp.org/policies/policy/background/faad/FAAD_English/faaq1_532e98.html
日本語のサイトでいいものがなかったので、英文で申し訳にゃー。国連機関であるWFPのサイトなので信頼性は高いと思いますにゃ。僕が論拠にしたものはここにあると思いますにゃ。また、ここから根拠となる各論文を参照できると思われますにゃ。
親族の誰がかかわることによってガキの栄養状態が改善されたり教育程度が高くなったりするかってのは人類学の研究対象ですにゃ。進化心理学を考慮しにゃー人類学ってのはもはや成りたたにゃーかも。
このあたりを調べていたらいろいろ興味深いネタがあったので、暇をみて紹介していきますにゃ。シロウトなりになるべくソースを示す努力はするつもり。

id:complex_cat
うーん,よく分かりませんでした。

この関連のネタは気長にやるつもり。
この件に関して僕が少し特殊な感覚をもっているかもしれにゃーということは否定しにゃー。ただ、どこかでわかってもらえるようにはしたいと思うけど。

*1:この時点で新自由主義は崩壊していたといっていいのではにゃーだろうか

*2:え? 「施しをうけているくせに独り占めする低開発国の低能♂が許せない」だって? うんうん、僕もヒデエと思うけどにゃ。でもさ、世界的に食料は足りているのに毎年400万人も飢餓人口を増やし、それでも腹いっぱい食っている僕らのやっていることって、このクソ♂どもとどっか違うのかい?

*3:例えば生物学的に♂は♀よりも筋力が強い傾向があることと、「男は力が強いもの」というジェンダーとは矛盾しにゃーわけ

*4:古代中国とか古代ローマなんかでは、ガキや♀はマジに家畜なみに見られていたという話はあるけど、少なくとも家産として保護されてたとはいえる