ノンステロイド詐欺でアトピービジネス跳梁跋扈

ノーアト事件

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20080730034.htmlからイントロ部分を引用


ステロイド不使用」をうたい通信販売されていた化粧品から、医薬品並みの濃度のステロイドが検出されていたことが今月、明らかになった。東京都は「薬事法違反で、健康被害が出る恐れがある」として、商品の回収と販売中止を指示した。化粧品は全成分表示が義務づけられているとはいえ、正しく表示されているかどうかの確認は業者側に任されている。消費者が購入前に実際の成分について知るすべは事実上なく、被害をどう防ぐかが課題となっている。(平沢裕子)


ここで回収騒ぎとなった化粧品の製品名は「NOATO(ノーアト)」。製品名からしアトピー患者を食い物にしようとしたものだということは明白ですにゃ。
アトピービジネス撲滅プロジェクト」を推進しているhttp://skinnext.cocolog-nifty.com/blog/というブログからこの製品から検出された薬物についての記述を引用すると


含まれていたステロイドはプロピオン酸クロベタゾール。
病院でもらえる薬としては「デルモベート」。
ステロイドとしては一番ランクが上のものです。
検出された濃度は0.047%ですので、医薬品として承認されている製剤とほぼ同一。


http://skinnext.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/o_4168.htmlより


ステロイド軟膏にはその強度によって「弱・中・強・次強・最強」と5つにランク付けされていますにゃ。詳細はwikipedia:ステロイド外用薬を参照のこと。
専門医によるコントロールが必須のこの強力な薬剤がいったいどのように売られていたのか?

代替医療ビジネスのウェブ展開の一例

以下の3つのブログ(いずれも魚拓)は、各々別会社のブログサービスを使いつつ相互にリンクしあっていましたにゃ。
1)ノーアトでアトピーが治った体験談その魚拓
2)ノーアトクリーム口コミ情報を集めてみましたその魚拓
3)sublimeblog.netその魚拓
そして、各々のブログで「ノートアクリームの詳細はこちらをクリック!」というリンクを踏むと、いずれのブログからもhttp://www.store-mix.com/ko-bai/p_list.php?oid=5684というショップに飛びますにゃ。このショップにおいては、すでにもうこの商品は跡形もにゃーようだけど。


3)のブログにはノーアトクリームの効能まで書かれていますにゃ。

  • 神経痛、風邪、インフルエンザ、感染症、気管支炎、咳、リューマチ、捻挫、切り傷、内出血、抗うつ、鎮痛、消毒、駆風、引赤、神経疲労、ストレス症状

ボルネオールに以上の効果があるとのことだけど、アロマテラピー系のサイトにはそういう記述があったけど、まともそうなところにはそんなことは全然書いてにゃーですね。まあ、こういった「万能薬」ってのを見たら眉に唾をつけるってのはもう基本的なリテラシーといっていいと思いますけどにゃ。
とはいえ、この詐欺商品の主なターゲットはアトピー患者であることは間違いにゃーのだから、諸効能はおまけにすぎにゃーとはいえるだろうけれど。

代替医療ビジネスのうまみ

ステロイドが含まれておらず「天然成分」だから安心だと、乳幼児の顔にベタベタ塗るということまでされているようにゃんな。最強レベルのステロイドは、副作用のおこりやすい顔面や頚部には成人への使用すら通常なされないと聞きますにゃ。相当に重篤な副作用が予想されますよにゃ。さきほどリンクした「燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2」のドクターPON氏は、この商品の被害者には皮膚科専門医の受診を勧めていますにゃ。


ウチの3歳児はけっこうひどい食物アレルギー&アトピーなんだけど、専門医の指示にしたがい、内服薬や他の外用薬と併用して、中あるいは強レベルのステロイド外用薬を使用しておりますにゃ。
この話は他人事ではにゃーんだな。
実際に、ステロイドを含まずにアトピーに劇的に効くクリームと聞けば、僕も無関心ではいられにゃーです。疑ってはかかるけどね。今回、この事件が発覚したのも、ある程度科学リテラシーのある患者が、あまりにも劇的に効き過ぎるので不信をもって通報したというところが発端のようですにゃ。成分表示が完全に偽装されてあった以上、被害者に落ち度はありませんにゃ*1
ガキが身体中かきむしって眠れない様子を間近で見るってのは、けっこうツライものにゃんぜ。こういうツラサにつけ込むってのは、やっぱりうま味がでかいんでしょうにゃー。


「麻薬」の危険性は裏返せばほとんどがビジネスの「うまみ」なのです。

  • コストが安く利益が高い
  • リピーターが得られる
  • 欲求が亢進する
  • 陳腐化しない
  • 市場が自動的に広がる

2004-10-16より


にゃるほど、代替医療ビジネスというのは麻薬ビジネスと重なる部分が大きいにゃ。
にゃんとうま味のある商売であることか。


実際に、化粧品などにステロイドが混入されていたのは、医薬品成分(副腎皮質ステロイド)が検出された外用剤について|厚生労働省によると、この事件で今年すでに4件目なのですにゃ。ここで書かれている「ゆずりん」という商品は、今年3月にステロイド混入で話題となった「エンジェルグレイス」という商品と同じものであったらしい。


さらに、NOATO など - Monkeyのダラダラ日記に注目すべき2chでの指摘が言及されていますにゃ。
エンジェルグレイスのおわびサイトその魚拓

ノーアトのおわびサイトその魚拓
の2つのHTMLのつくりというか書き方のクセがそっくりだということですにゃ。
僕にはHTMLのクセというのはわからにゃーので、わかる人が見て確認したうえで、コメ欄やブクマコメで指摘していただけるとありがたいですにゃ。


なににしろ、この2つのページが同一人物によって制作されたとするならば、「エンジェルグレイス」と「ノーアト」の販売にかかわっている人物(団体)も同じである可能性が非常に高くなりますにゃ。しかも、エンジェルグレイス事件から半年もたっておらず、回収なども終わったわけではにゃーようだ。
だとすれば、これは完全に意図的に行われたことであり、薬事法がどうとか詐欺がどうとかいうよりも、傷害事件に相当する話なんではにゃーのだろうか?

最後に

ステロイド剤に拒否反応を示す心理は僕もわかりますにゃ。スポーツの世界におけるステロイド服用などのイメージがあって(とは異なる薬剤なのに混同してしまって:id:Harnoncourtの指摘により訂正と追記) 、ガキに使うのを躊躇する気持ちはわかるし、使うにしても専門医の指導のもとに注意して使わなければならにゃークスリですからにゃ。
僕のガキの場合は、居住地の近くに信頼できる専門医がいたことに感謝していますにゃ。アレルギー&アトピーとは長いつきあいになりそうにゃんが。


弱者を食い物にする代替医療ビジネスは全て嫌悪しているけれど、個にゃん的事情からアトピービジネスについては特にハラワタが煮えくり返る。
というわけで、僕は
http://skinnext.cocolog-nifty.com/blog/cat31292795/index.html
を支援しますにゃ。とりあえずは紹介にゃんな。
というわけで、よろしければこのエントリにブクマください。くれくれクンとでもブクマコレクタとでも呼ばれて結構。この記事とリンク先を多くの人に読んでもらいたいですにゃ。ホットエントリになればちょっとでも多くの人の目に留まるだろ。
それと、身近なところにアトピーの人がいたら、このドクターPON氏のブログの紹介をお願いしたいですにゃ。僕の見る限りはきわめて「まとも」な情報を発信されていると思われますにゃー。
アトピービジネスは、ホメオパシーなどの代替医療の魑魅魍魎の世界の入り口のひとつであり、いったんこういうのにはまるとなかなか抜け出せなくなりますにゃ。
一番の被害者はガキどもだ。

*1:成分表示を信じないというのは陰謀論