パターナリズム方式医療制度改革案

2008-04-24を読んで思いついた医療制度改革ネタ。あくまでネタね。


西洋医学だって、200年前は魔術とあまり変わらなかった。確かに「魔術」には癒す力があり、医師もその力を使っている。最近では、うっかり「大丈夫」と言うと後で大変な目に遭うかもしれないので、医師が「魔術」を使う機会が減ったが、一昔前のパターナリズムむき出しの医師は魔法の力が強かったのではないか*1。「おそらく普通の風邪だと思われますが、確率は低いものの急性肝炎、髄膜炎、急性心筋炎etc.の可能性が否定できないので、万一状態が変化したらすぐに来院してください。内服薬を処方しますが、稀に薬剤アレルギーの方がおり、肝障害、腎障害、喘息、アナフィラキシーショックetc.等の副作用が起きる可能性もゼロではありません」などと言われるより、「大丈夫!タダの風邪じゃ!この薬を飲んで、ゆっくり眠れば治る。ワシが保証する。ガッハッハ」と言われたほうが治りが良いと思わないか?たとえ処方が出鱈目だとしても。

大人の事情によって削られた医師の「魔力」を補完するのが代替医療というわけ。総医療費は削られ、医療機関へのアクセスも制限されるようになるだろうから、これからも代替医療は廃れないであろう。

ならば、医師の魔力を西洋医学に取り戻せばいいのだにゃ。
以下にそのプロセスを示すにゃ。

  • 医師の魔術の効力を科学的に証明する。

具体的には
防衛医療むき出しの医師 と パターナリズムとハッタリの医師
この両者を対照群として治験成績を比較するのだにゃ。要するに医師の態度や様子によるプラシーボ効果の違いを検証するのですにゃ。
ちょいと古い記事にゃんが、こんなのがありますにゃ。http://wiredvision.jp/archives/200403/2004031608.html。この記事によると


プラシーボの服用が常に効果的なわけではなく、場合によっては逆効果となることもある。いわゆる「ノシーボ」効果と呼ばれるもので、プラシーボを服用すると、本来服用したと思っている薬の副作用が生じることを指す。ノシーボ効果については、数年前から研究が行なわれている(ノシーボ(nocebo)は「私は害を加えるだろう」、プラシーボ(placebo)は「私は喜ばせるだろう」という意味のラテン語)。

 プラシーボの負の側面ともいえるノシーボ効果は、研究者にとってのもう1つのなぞだ。2つの可能性が考えられると、ボストンにあるブリガム女性病院の精神科医、アーサー・J・バースキー博士は指摘する。1つは、暗示にかかっているという可能性。ある研究によると、アスピリンを服用する際、副作用があるかも知れないと言われた場合、胃腸の調子が悪くなったと訴えた人数が6倍に増えたという。

パターナリズムとハッタリが治療において+の効果を得る可能性だけでなく、防衛医療が治療において負の効果を得る可能性はマジに結構あるのではにゃーかと思われますにゃ。
ここで

  • 防衛医療は治験成績が悪く、ハッタリ医療に治験効果が認められる

ということが実証されればしめたものだにゃ。(しつこいけど、マジにその可能性はあるのではにゃーのか?)

  • 医師の魔術を保険適用とする

防衛医療に比してパターナリズム医療の治験成績がよいと実証されたら、インフォームドコンセントを特別料金とし、パターナリズム医療を保険適用にするのだにゃ。それに併せて、医師・看護師の養成カリキュラムに演劇とかパフォーマンスなどを必修とするんだにゃー。あるいは、メディスン・マンやシャーマンに医療施術者としての心得を説いてもらい、ハッタリと押しの強さを身に付ける。
小児科なんかではコスプレやメイクが有効かもしれにゃー。ピカチューの着ぐるみを着た医師が「治してあげるよピカー」などといってあげればガキの軽微な症状は結構なおるだろにゃ。
(仕事として人前でどうどうとコスプレできる専門職として、小児科医の人気が急増してメデタシメデタシ。お産におけるコスプレの癒し効果が判明すれば、産科医希望者もコスプレイヤーが殺到してイロイロと解決するのだあああ。:追記)

  • 患者の知る権利を保険外として特別料金にする

そもそもさ、インフォームドコンセントってやたら手間がかかるわけにゃんね。これは我らが厚生労働省がめざす安上がりの医療とは逆のベクトルだろ。「ワシにまかせろ、ガハハ」が許されれば3分診療でも患者様の満足度は高く、効率的にバンバン患者をみることができるわけだにゃ。ハッタリに治療効果・経済効果があるのなら、それを資源として使うべきだにゃ。医療資源は限定されているのだから、なおさらその必要性が高いだろにゃ。
インフォームドコンセントは手間がかかる上に、パターナリズム医療に比べて治療効果がそれほどあがらないとしたら、保険適用外として特別料金をいただけばよいのだにゃ。


  • 医療訴訟を制限する

パターナリズム医療を公的医療保険におけるスタンダードにすると同時に、パターナリズム医療においては保険範囲内の治療しか許されにゃーことにして、医療の質の水準を保つ。さらに、パターナリズム医療(つまり保険範囲内の医療)においては、医師の側からの情報提供に関しては医療訴訟は原則としてできないということにしておく。公的にハッタリを認めるのだから、そうでにゃーと整合性がつかにゃーだろ。
猜疑心の強い患者様(つまり訴訟リスクの高い患者様)については、病院側は情報提供の特別料金をたっぷりいただいたうえで徹底的に防衛医療にはしればいいにゃんね。つまり、保険外治療においては医療訴訟を制限しにゃー。保険外の代替医療を行う者こそが訴訟リスクを負うことになるわけだにゃ。これが本来の姿だろ。
もちろん、保険適用の治療であるパターナリズム医療においても、専門家間の相互検証は何らかの方法で確保はしたいにゃ。


どないだ?
医師の側からすれば、モンスター・ペイシェントの首に鈴をつけて訴訟リスクを激減することができ、インチキ医療者こそが訴訟におびえることになる。
患者の側としても、実はパターナリズムを欲するものは多いにゃ。個にゃん的にも、信用する医師が見つけられれば、普段はパターナリズム医療でまったく問題はなく、何か重大な疾患などになった場合に特別料金を出して詳細を聞くことができればオッケー。
経済効率も高いはずだにゃ。みんなシアワセ。


パターナリズム医療とは、医療の呪術性を利用した医療だと思いますにゃ。
医療における呪術の効用が認められれば、それをシステムに組み込んでみんながシアワセになれるのではにゃーかというネタ話でしたにゃー。

  • 以下追記

我ながらちょっとわかりにくいので付け足しますにゃ。
この設定では
医療訴訟から守られるのは「患者とのコミュニケーションにおいてはパターナリズム、かつ、治療内容において保険適用範囲内」ですにゃ。
つまり、「患者とのコミュニケーションにおいてはパターナリズムだけど、治療内容が保険適用外である代替医療」は訴訟から保護されにゃーということ。